だけど、今更、その無駄に魅力的な仕草や表情に胸を躍らせているなんて、そんな事、彼に知れたら益々、図に乗るに決まっている。
そう気付いて、私は慌てて、圧し掛かるその大きな身体を押し返した。
が、やはり腐っても黄金聖闘士。
私程度の非力な腕では、ビクともしないどころか、返って身体を押し付けられてしまう。


「わ、私、今、シャワー浴びたばかりなんだけど?」
「ンなモン、また浴びりゃイイだろ。」
「だって、一緒に出掛ける約束でしょ? 私、メイクだってしなきゃいけないし、そんな事してる時間ない!」
「化粧なんざ、しなくていい。オマエはそのままで十分だ。」
「あっ!」


必死で抵抗しながらも、一番敏感な首筋に口付けられて、途端に力が抜けた。
六年間も、こうして一緒にいるんだもの、私の弱いところなんて全て知り尽くされている。
だからこそ、最後の抵抗のつもりで、次にデスの唇が吸い付いてくる場所を読み、上手く避けたつもりだった。


「え、やっ?!」
「ヤ、じゃねぇ。イイって言え。」


だけど、私がキスを避けるだろう事を読んでいたデスに、巧みに着ていたバスローブを剥ぎ取られた。
流石に、これには焦った。


「だから、嫌だって言ってるでしょ! 買物に行きたいの、私は!」
「だったら、ちゃっちゃとヤって、シャワー浴びて、出掛けりゃイイだろ?」
「だって、メイクに時間が……、あ、やっ!」


必死にシーツに潜り込んで、次の攻撃を避けようとする私に、容赦なく圧し掛かってくるデス。
背中に触れた熱い肌の圧迫感に次いで、最後の頼りだったシーツをベッド下へと放り投げられて、逃げ場を失う。
こうなると後はただ、デスの仕掛けてくる濃厚な攻撃を、少しでも逸らす努力をするしかない。


「オマエは化粧なんざしなくてイイ、ミカ。そのままで十分だ。」
「だって、スッピンなんて恥ずかしい。デスの横に並ぶんだったら、尚更よ。」


同僚達には悪人面とか、マフィア顔とか散々、言われているけれど。
この人が、普通に街を歩いていたら、どこぞのモデルか俳優かとでも思ってしまうくらいの男前だもの。
彼に釣り合う女、というか、彼が連れていて恥ずかしくないような女でいるためにも、メイクは絶対に必要だと思うのよね。


「オマエね、どんだけ聖域純粋培養なンだよ? 俺が選んだ女なンだから、ミカはただ堂々としてりゃイイんだよ。」
「何よ、その言い方。私はデスが恥を掻かないようにと思って――。」
「うるせぇ。これ以上の問答はナシだ。」
「んっ!」


相変わらずの強引さで、最後の言葉と抵抗を奪う。
結局は抵抗するのにも疲れて、彼に身を任せた。
たまには、こんな朝も悪くはない。
朝の光の中で、とびきりセクシーな恋人と、最高の時間を楽しむのも……。



眩しい光の中で、沈みゆく快楽の海



「ん、デス……。今の、何かいつものキスと違う。」
「気のせいだろ。」


気のせいじゃない。
何だか、とても甘くて優しくて。
六年前、彼との恋に溺れたばかりの頃を思い出させるような、そんなキスだった。



‐end‐





結局、何が書きたかったのか良く分からない話になりました(滝汗)
ちょっぴりEROっぽい素敵イタリアンに仕上げたかったのですが、蟹離れが長かったせいか、蟹様の素敵さが上手く表現出来ません。
これは、どうした事か?!
しかも、どちらかというと蟹様より、ヒロインさんの方が良い思いをしてるような気がしてなりません(苦笑)
まぁ、でも、蟹様は朝から堪能出来たんでしょうし、良しとしておきましょうw

蟹様、今年もお誕生日おめでとうです!

2011.06.24



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