petit four的キラキラスイーツ



涼し気な器に盛られたキラキラと輝く菓子。
まるでガラス細工のように透き通って光り、ついつい目を奪われるそれは、赤や黄色、オレンジなど綺麗な色に染められている。
小さなハート、星、それに花。


「……これは?」
「グミキャンディー。綺麗でしょ、可愛いでしょ。雑誌に載っているの見て、作ってみたくなっちゃった。簡単グミレシピ。」


飛鳥は俺の親指の爪くらいの大きさのそれを一つ摘まむと、俺の口の中へと押し込んだ。
ムニムニと、プルプルと、そして、コリコリとした食感。
それにギュッと濃縮されたフルーツの味、甘さと酸味。
これは何ともクセになりそうな食べ心地……。


「今のは何味でしょうか?」
「葡萄だな。」
「正解。流石に味が濃いから分かり易かったかな。じゃ、これは?」


もっきゅ、もっきゅ……。
あぁ、これも分かり易い、オレンジ味だ。
なる程、百パーセントジュースをゼラチンで固めているだけか。
確かに簡単レシピだな。


「でも、レシピ通りにジュースと砂糖とゼラチンだけだと、どうにも物足りないって言うか、ちょっとゼラチン臭い気がして、自己流で色々と加えてアレンジしたのよ。」
「そうか。で、この茶色のは何だ?」
「コーラ味。コーラを煮詰めて作ってみました。」
「こっちの白いのは?」
「カルピス。原液を二分の一に薄めて使ったの。」


もっきゅ、もっきゅ……。
うん、どれも美味い。
簡単レシピとはいえ、飛鳥の手に掛かれば、こうも美味い菓子に変化するのか。
俺は、そうだな……、この林檎味が一番好みだ。
甘酸っぱい味にホンワリ癒される。


「シュラ……。美味しいって食べてくれるのは嬉しいけど、もうちょっとね、感想とか言って欲しいなぁ……。」
「ん?」


モクモクとガラス皿の上のグミを頬張っていた俺に、飛鳥がジトーッと恨みっぽい視線を向けていた。
美味いものを美味いと言って何が悪いのか?
だが、それでは何の参考にもならないし、次への改良にも繋がらないのだと、飛鳥は愚痴る。


「もっと、こう……。ココが足りないとか、コレが濃いとか薄いとかね。色々とあるでしょ。」
「そうか。俺はこれで十分満足しているのだが、お前がそう言うのなら……。」


オレンジはもう少し酸味が強い方が良いだろう、レモン汁を多めに加えてはどうか。
コーラは味に迫力がないので、もっと煮詰めて濃くした方が良い。
葡萄は渋みの強いジュースを使った方が、グミにした時に葡萄の特徴が濃く出るのではないか。


「……うんうん。それから?」
「生の果物をすり下ろして加えてみたり、ジャムを中に入れてみるのはどうだ? 味にメリハリが出て美味いんじゃないだろうか。」


だが、それだとこの綺麗な透明が失われてしまうか。
キラキラとしたガラス細工のような輝きがなければ、見た目の魅力が半減してしまいそうだな。
だったら、それは止めた方が良いか……。


「いやいや、良いと思うよ、それ。きっと美味しいと思う。半分はキラキラ透明グミ、残りの半分が果実入りグミ。で、果実入りはグラニュー糖をまぶして砂糖衣にするの。ふふっ、とっても素敵なアイディア。ありがとう、シュラ。」
「参考になったのなら良かった。」


出来上がりのグミを想像してスッカリ心躍らせた飛鳥は、何やらグミ作りの意欲が更に湧いてきたらしい。
嬉々としてキッチンへと姿を消した。
早速、今のアイディアを試してみようと、ガタガタと創作中の音が響いてくる。
彼女の菓子作りに口を挟むのは余り好きではないのだが、こんなに喜んでもらえるのなら、そうだな。
たまには自分の思い付きをアレコレと押し付けるのも悪くはないと思った。



キラキラ心躍るスイーツ



(もっきゅ、もっきゅ……。うん、美味い。これも美味い。)
(シュラ。美味しいからって食べ過ぎると、虫歯になるわよ……。)



‐end‐





私がハマっているのです、簡単グミレシピ。
サクッと作って、サクッと固めて、サクッと食べ尽くしますw
葡萄と林檎とレモンを作りましたが、葡萄が一番好みでした(聞いてないよ)

2018.06.19



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