petit four的真夜中の考え事



オマエ、あンな幼児体型の女と寝て、良く満足出来るよなぁ。
事ある事に、デスマスクは俺に問う。
確かに、飛鳥は年齢の割に貧乳ではあるし、くびれも少なく、大人ながらも少女のような体型ではある。
しかし、彼女の肌は常に滑らかで、ふわりと淡くバニラの香りに包まれている。
その内側から自然と匂い立つ香りに、俺の情欲が掻き立てられて、箍が外れたように求めてしまうのだ。
それは最初に出会った時から変わらない、飛鳥に対する抑え切れない衝動。
これが惚れているという事ならば、俺は間違いなく彼女に首っ丈なんだろう。


「……んっ。」


真夜中、俺の腕の中で背中を向けて眠っていた飛鳥。
小さく身動ぎをした彼女は、モゾモゾと動いて身体を小さく縮めた。
まるで母親のお腹の中にいる赤ん坊のように膝を抱え、俺に向かって白い首筋と肩を晒している。
飛鳥の首筋は魅惑的だ。
着物を着ている時などは、クラクラと目眩を覚える程に、その白さは眩しく映る。
そして、そこからスッと真っ直ぐに伸びる背骨。
飛鳥は背中のラインが特に美しかった。


暗闇の中に浮かぶ白い首筋。
俺は我慢出来ずに自分の唇を押し付け、そのまま背骨に沿って、ゆっくりと下降させていく。
滑らかな背中に手を這わせ、唇が二つの肩胛骨の間を通り抜けようかというところで、飛鳥が大きく身体を揺らし、俺の手を振り解いた。


「……や。」
「ん? 何がだ?」
「今夜は……、も……、や……。」


再びモゾモゾと動いた飛鳥は、身体を反転させて俺と向かい合わせになり、そのまま俺の胸に顔を埋めてしまった。
しかも、腕はガッチリと俺の腰に抱き付き、これ以上は何もさせないといった体勢で、また夢の世界へと戻ってしまう。


はぁ、結局は今夜も抱き枕にされてしまったか……。


仕方がない。
今夜は一度、たっぷりと愛を交わし合っているし、そう何度もというのは彼女の身体にも負担が掛かる。
俺は諦めの溜息を吐いてから、飛鳥の髪に顔を埋め、そっと小さな身体を抱き返した。
細くて小さくて、力を籠めると折れてしまいそうな華奢な身体。
愛しくて大切な飛鳥だからこそ無理はさせられない。
俺と飛鳥、二人がこうして共に暮らせる事自体が奇跡なのだ。
多少の我慢くらいはしないとな。


「ん……、シュラ……。私より……、ケーキが良い、なんて……、ヒドい……。」
「何の夢を見ているんだ、お前は……。」


寝相が悪いのは大目に見よう。
寝言を言うのも、勝手に俺が糖尿病になる夢を見てしまうのも許してやる。
だから、どうか変わらずに、ずっと俺の腕の中で眠ってくれ。
明日も、明後日も、一年先も。
訪れる夜は全て、俺と共に……。



幾多の夜は、お前と越えるためにある



(シュラ……、そのケーキ、私にも……、一切れ分けて……。)
(飛鳥。寝言は許すが、涎は止めてくれ。)
(ムニャ……。シュラのエッチ……。)
(だから、何の夢を見ているのだ、お前は……。)



‐end‐





パティシエ夢主さんは、寝相が悪いのは勿論、寝言も多々あります。
そして、彼女は山羊様の胸板枕に涎を零す常習犯ですwww

2017.10.22



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