「オマエさ。好きな男からプレゼントされるとしたら、何がイイ?」
「……は?」


何を言い出すかと思えば、贈物の話とは。
しかも、私が好きな人から贈られる、つまりはシュラ様からのプレゼントについて、デスマスク様が聞いたところで、一体、何になるというのか。
正直、何と答えて良いのやら困る質問だわ……。


「だから、もしアンヌがシュラから本気のプレゼントされるとしたら、何がイイかって聞いてンの。ンな事も分かンねぇのか、オマエ?」
「分かります。分かりますけど……。」


はっきり言ってしまえば、これといった物が浮かばない。
私としては、シュラ様が変わらずに毎日、傍に居てくれるのならば、それが一番の贈物だと思える。


「そういう事を聞いてンじゃねぇよ。あンだろが、誕生日とかクリスマスとかに、こんなモノ貰えたら嬉しいってのがよ。」
「そう言われましても、特には……。贈られて困る物はありますが。」
「困るモノぉ? ンだよ、そりゃ?」


そ、それは、言い辛いというか、言いたくないというか。
それについては出来れば、これ以上、突っ込んで聞いて欲しくないです……。


「何? この俺にも言えねぇような凄ぇ代物、シュラから貰ったってか? ふ〜ん、あンのエロ山羊が。まだセックス出来るようになって間もないってのに、アレやコレやと試してるってワケだ。そうかそうか。」
「い、いえいえ、別に、え、エッチなものとか、そういう類の何やらではないですから、決して!」


って、何を全力で否定しちゃっているのよ、私!
返って怪しいじゃない、これじゃ、「そうです。」と肯定しているに等しいわ!


「大人の玩具の類じゃないなら、何だってンだ? あ?」
「そ、それは、その……。せ、セクシーなランジェリーとか……。ラインが際どかったり、スケスケだったりとか、色々と……。」
「あー、成程ね。シュラの野郎、ムッツリだからな。確かに、そういうエロ臭ぇモンが好きそうだ。てか、セクシーランジェリーは男のロマンだろ。相手の事を愛してンなら、着てやるのも愛情ってモンじゃね?」
「ええっ?!」


そんな事を言われたって、嫌なものは嫌なんですけど。
は、恥ずかしいし、シュラ様は興奮して暴走しそうだし、あれ以上、精力増強されては困ります、私。
生きてベッドから下りられる気がしない。


「つか、オマエみてぇな干物女の意見を聞こうとした俺がバカだったわ。アンヌの話を聞いても意味がねぇ。」
「わ、私は決して干物女ではありません!」
「ほう。ココに来る前は、六年間も恋愛から遠ざかっていたオマエを、干物女と呼ばずして、何と呼べと?」
「う……。」


確かに恋愛には疎いし、お付き合いをした人も、シュラ様を含めても二人しかいないし、周りから鈍い鈍いと言われ続けている私だけれども、だからといって、干物女だなんて、そんな言い方……。
私がこの六年、仕事一筋だったのも、それもこれも原因は、目の前にいるデスマスク様自身だ。
恋愛にうつつを抜かしている暇もない程に、私を扱き使ってくれた張本人なのだから。


「私が干物女になった責任は、デスマスク様にあると思いますけど。」
「何? オマエ、自分が干からびた原因を俺に責任転嫁しようってのか?」
「転嫁じゃなくて、そもそもが全てデスマスク様のせいだと言っているんです。」
「言うじゃねぇか、アンヌ。」


ギロリと一睨み。
腕組みをして、無駄に長過ぎる足までも組んで、ふんぞり返ったまま椅子の背もたれに寄りかかったデスマスク様は、そのままの姿勢で、私にこれでもかとガンを飛ばしてくる。
テーブルを挟んで彼の向かい側に居た私は、その視線を受け止めながら、黙って座っていた。





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