今日は大雨だった昨日と違って、朝から良い天気だった。
晴れ渡った青い空と、澄んだ心地良い風。
今日はお洗濯物も早く乾きそう。
その代わり、私は夕方までは外に出られないだろうけれど。
私は昨日一日サボった分の家事を、テキパキとこなしていった。
朝食の後片付けと、昼食の準備。
お掃除とお洗濯、アイロン掛けなどなど。
籠にいっぱいのお洗濯物の最後の一枚、今朝、シュラ様がトレーニングの時に履いていたノブナガパンツを干し終えると、やっと一息吐く事が出来た。
ドッカリとソファーに座って、ちょっとだけぼんやりする。
眺める部屋は、午前の眩しい光が差し込んでいて明るい。
ここは少し前まで『シュラ様の部屋』だった。
でも、今は違う。
シュラ様一人の部屋ではなくて、シュラ様と私の『二人の部屋』だ。
ただ、そう思うだけで何だか嬉しくて、そして心の奥がこそばゆい。
身体はまだちょっと痛むけれど、それも幸せの証。
これはきっと多分、回数をこなしていけば慣れるだろう。
うん……、慣れると良いけれど。
その前に、シュラ様が手加減してくれれば良いけれど。
私はソファーに座ったまま、自分の左手を翳した。
薬指には光を受けてキラキラと輝く指輪が一つ。
昨日までは、そこになかったもの。
彼がくれた、形ある愛の印。
事実婚、か……。
それでも、シュラ様と夫婦になった事には変わりはない。
正式に届出をした訳でもない、アテナ様の前で愛の誓いを立てた訳でもない。
だけど、昨日までとは比べ物にならないくらいに深く想いが繋がっていると感じられる。
それは身体の関係を持ったから、というのもあるかもしれないけれど。
シュラ様が私に、私はシュラ様に、互いに約束し、誓い合ったからだと思う。
ずっと守る事、ずっと傍に居る事。
互いの心を信じ続ける事。
あぁ、夫婦になったんだ……。
翳した薬指を眺め、自然と口元が緩んだ。
「なぁに一人でニヤけてンだ、オマエは?」
「っ?!」
突然、背後から掛けられた声。
シュラ様と育む幸せにドップリ浸っていて、油断し捲くっていた私は、文字通り飛び上がって驚いていた。
「で、デスマスク様っ?!」
いつの間に真後ろに立っていたのですか?!
全然、足音に気付きませんでしたが、もしや驚かそうとの魂胆で、気配を断って近付いたとか。
「アホか。俺は何度も声を掛けたぜ。全然、返事がねぇから、様子見に入ってみれば、オマエ、一人でニヤついてやがるし。」
「に、にやついてなどいません、絶対に!」
「嘘吐くなっつの。それは何だ、それは?」
慌てて左手を隠したが、時既に遅し。
デスマスク様のスピードには、一般人の私が敵う筈もないのだ。
あっさりと手首を掴まれて、彼の眼前に突き出される。
私は抵抗するのを諦め、大人しく彼の前に左手を差し出した。
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