――バンバンバンッ!


私は力任せに扉を叩いた。
何としてでも、この部屋から出してもらわなければ困る。
だって、ココには……。


私はチラと背後を振り返った。
そこには、私よりも先に、この部屋へと押し込まれていたシュラ様がいた。
ベッドに腰を掛け、デスマスク様に殴られたところが未だ痛むのか、頭を抱えて項垂れている。


今はデスマスク様のお陰で弱っているから良いとして、この後、回復したならば、どうなるか。
先程、ソファーに押し倒された事を思い返すとゾッとする。
しかも、ココはシュラ様のお部屋で、侵入者に当たるのは明らかに私の方。
これでは何をされても、文句の一つも言えない。


それ以前に、シュラ様の力で、あのベッドに押し倒されては抵抗するどころの話ではなくなる。
確実に最後まで……、アレやコレやを致されてしまうだろう、間違いなく。


その考えに焦った私は、ドアノブをガチャガチャと乱暴に捻った。
幾ら想いを寄せているシュラ様が相手とはいえ、この状況――、同じ屋根の下、直ぐ近くの部屋にデスマスク様とアフロディーテ様がいる。
そ、そんな状況下で、そ、そのようないけない事、したくないし、する訳にはいかない。
それだけは断固として阻止しなければ!


だが、ドアノブは回っても、扉は一向に開く気配はなかった。
固く閉ざされてビクともしない。
多分、デスマスク様の念動力で固定されているのだ。
こういうところはヤケに器用な人だもの、お酒を飲みながらでも十分に制御出来る。
いや、そこに感心するよりも、それ以前に、こんな事に聖闘士の力を使うなんてと腹立たしく思う。


こうなったら仕方ない。
目には目を。
聖闘士の力には、聖闘士の力を。


「シュラ様。この扉、デスマスク様が固定してしまっているようなので、シュラ様のお力で開けてくださいませんか? この状況ですもの、真っ二つにしてしまっても構わないで――、きゃっ!!」


いっその事、シュラ様の手で壊してしまえば良いのよ。
扉の修理代は、デスマスク様に請求すれば良いのだから。
そう思って、扉から離れ、背後のシュラ様を振り返った私だったが……。
しかし、そこにいた彼の姿に、慌てて扉の方へと向き直った。


「な、何で服を脱いでいるんですかっ?!」
「暑い……。」


部屋の真ん中に立っていたシュラ様は、着ていた黒のポロシャツを躊躇いもなく脱ぎ捨てているところだった。
やだ……、も、もしかして、もう既に、その気満々なの?!


「多少の暑さくらい、我慢してください!」
「何故だ?」
「何故って、それは――。」


思わず、再びシュラ様の方へと振り返ってしまった私。
そんな私の方をジッと見て立ち尽くすシュラ様は、無駄のない引き締まった見事な体躯を惜しげもなく晒している。
大量に摂取したアルコールのせいで、首から上だけがほんのりと赤く染まっている様子が、いつも以上に彼のセクシーさを引き立てていて、目を見開いた私は、ついつい見入ってしまう。


だが、服を脱ぐシュラ様の手は止まらず、私が見ているというのに、気にせずにジーンズのファスナーに手を掛けた。
アイオリア様から貰った派手な紫色のボクサーパンツが、ジーンズからチラリと覗いた瞬間。
私は先程と同じように、慌てて背を向けた。





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