闇のリズム的にゃんぱにな新騒動46
2022/01/24 02:04


「ミミッ、ミッ。ミッ……。」


暫くデスマスク様と猫じゃらしで遊んでいたアイオリア様だったが、やはり気が変わり易い猫ちゃん。
直ぐに飽きてしまったようで、左右に揺れる猫じゃらしに反応を見せなくなった。
そして、キョロキョロと部屋の中を見回した後、シュラ様の眠るソファーへと飛び乗り、そのまま眠ってしまった。
黒猫ちゃんのお尻を枕に、スヤスヤ眠るモフ猫ちゃん。
グッスリ眠っているシュラ様の方は、お尻を枕にされている事には全く気付いていない。


「平和だな……。」
「そうですねぇ……。あ、そうだ。」


猫ちゃんの寝姿を見て、ほのぼのとしている場合ではなかったのでした。
折角、彼等に構わずに済む時間が出来たのだから、有効活用しなければ。
今のうちに宮費の帳簿を付けてしまいましょう。


「良く働くよなぁ、オマエ。」
「私に仕事を教え込んだのは、何処のどなたでしたっけ? 宮付きの女官に休んでいる時間なんてないって言っていたのは、何処のどなたでしたっけ?」
「何処のどいつだったかねぇ?」
「デスマスク様も仕事してください。ノンビリ寛いていないで。」
「俺の仕事は、そこの猫共の監視だからなぁ。」


はいはい、分かりました。
デスマスク様に期待した私が悪かったです、すみませんでした。
カーペットの上でゴロゴロしている、猫ちゃんみたいなデスマスク様を横目に、私はコツコツと帳簿付けを。
シュラ様達が目を覚ますまでに、少しでも進めておきたいところ。
と、思っていたのですが……。


「……ひゃっ! な、何?」


突然、足首の辺りにサワサワと何かが触れる感触がっ!
驚いてテーブルの下を覗き込んでみると、真っ黒な塊が足元に纏わりついている。
これは、シュラ様?
いや、カプリコちゃんだ。
全然、気配すらしなかったけど、いつの間に?
キャットタワーの上で、お休みタイムだった筈なのに。


「ミャーン。」
「わっ! 足首スリスリは駄目です!」
「ミャーン。」
「わわっ?!」


最初は足首にスリスリ攻撃。
そして、私が焦っている隙に、膝の上に飛び乗ってきたカプリコちゃん。
そこに乗られると、カプリコちゃんが邪魔で、帳簿が上手く書けないんだけど……。


「ミャーン。」
「わっ! それは駄目です!」
「何してンだ、アンヌ? ガタガタ煩ぇなぁ。」
「いや、その、カプリコちゃんが……。」


膝の上から、テーブルの上に乗ってしまったのだ。
そして、テーブルに広げていた帳簿や領収書などを下敷きにして、見事にドッシリと寛ぎポーズを決め込んでいる。
先程のデスマスク様と変わらぬドッシリさで、一ミリも退けてくれそうな気配はない。


「カプリコちゃん。普段はあんなに良い子なのに、急に何故……。」
「あー、そういや、アイオリアも言ってたな。テーブルで書き物を始めると、いつもカプリコに邪魔される、とか何とか。宮費の帳簿とか、報告書とか。」
「まさか、カプリコちゃんに、そんな邪魔癖があったなんて……。」
「残念だったなぁ。仕事、進まなくて。」


残念だなんて微塵も思ってないですよね、デスマスク様。
顔を見れば分かりますよ、顔を。
少しも感情が籠ってないですし、ただただ棒読みで言っているだけの顔ですから、それ。


溜息を吐きつつテーブルの上のカプリコちゃんを見遣る。
帳簿をお腹の下に敷き、満足そうに長く伸びた黒猫ちゃんは、そのまま心地良さげに目を閉じてしまった。


(つづく)


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