プチフール的プレゼント選び(山羊座)
2021/12/15 23:50


予定が急に変わったとかで、カミュと執務当番を交代する事になった。
突然の休日。
宮に戻り、その事を飛鳥に伝えると、小躍りして喜んだ彼女に、「だったら、買い物に行こう!」と、街へ連れ出された。


アテネ市街のショッピングモール。
平日で人出は少ない方だったが、クリスマスが迫っている事もあり、すれ違う人達の姿が皆、どこか浮足立って見える。
そうか、もうそんな季節だったか。
まだ飛鳥へのプレゼントも用意していなかった事を思い出し、折角だから何か良いものはないかとキョロキョロしている間に、目的の店に辿り着いた。
メンズのファッションブランドショップ。
つまりは飛鳥自身の買い物ではないという事だ。


「シュラへのクリスマスプレゼントを、ね。」
「それを俺の目の前で買うのか?」
「うん。一応、シュラの意見を聞いておこうかと……。」


いつもは俺の好みに合わせたりとか、許可を取ったりなどしない。
基本的に、飛鳥が選んだものなら何でも良いと言っているからだ。
それがワザワザ、俺の意見を聞きたいなどと、どういうつもりだ?


「これなんだけど。この深緑色の。」
「マフラーか。全く問題はないが……。意見を聞く意味があるのか、これで?」
「いや、その、触り心地も良いし、色も綺麗だし、シュラに似合いそうだと思ったんだけどね。ウールじゃなくて、カシミアだったから……。」


成る程、それか。
しかし、何度も飛鳥に伝えているのに、一向に理解しようとしないのは、何故なのだ?
俺は『山羊』ではなく『山羊座』だと言っているのに。


「いや、でも、山羊さんなシュラが、カシミアのマフラーって、ねぇ?」
「デスマスクは普通に蟹を食ってるが?」
「デスさんは特殊だから、多分……。」
「その理論でいくと、アフロディーテは魚料理を食えないし、ムウはウールを着られないし、アルデバランに至っては牛肉も食えんし、牛革も使えなくなる。」
「それは、その……。」


カシミアだろうと何だろうと関係ない。
飛鳥が良いと思って、俺のために選んでくれたものなら、俺は喜んで受け取ろう。
実際、このマフラーは俺好みだ。
今、着ているダークグレーのコートにも、ピッタリと合うだろう。


「これで良い。」
「え、でも……。」
「これ以外の候補が何かあるのか?」
「いえ、特には……。」
「なら、決まりだ。」


どうせなら、俺も飛鳥にカシミアのマフラーをプレゼントしようか。
揃いとか、山羊毛とか、そういうのは別にして、カシミアのマフラーは上等で暖かい。
飛鳥の、短く切り揃えられた髪の毛の下のうなじが、冬の風に吹かれて冷えてしまわないように。
互いが互いに贈るカシミアのマフラーで、しっかり覆ってしまおう。
他の誰にも触れられないためにも……。



あったかマフラー交換会



(首筋の痕も隠せるし、一石二鳥だな。)
(っ?! あ、痕はシュラが気を付けてくれれば、隠す必要もないのでは?!)
(吸い付きたくなるうなじなのが悪い。)
(シレッと私のせいにするとかヒドい!)


‐end‐


山羊さまは今日もスケベです(苦笑)
首筋が丸見えなら、痕が残らないようにすれば良いのにねぇ。
独占欲の塊なんでしょうねぇ、俺のものアピールしたくて堪らないのでしょうねぇ。


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