闇のリズム的にゃんぱにな新騒動42
2021/04/20 01:32


「冗談だよ、冗談。血を貰うなら、人の姿に戻ってからだ。」
「結局、血は貰うんですね。御自分の血ではなく。」
「聖衣を傷付けたのがシュラなら、シュラの血を使うのは当然だろう? 半分もの血を提供しなきゃならないんだ。私は低血圧でね。血を提供するなんて真っ平御免さ。」


確かに見事な低血圧ですよね。
以前、猫ちゃん達が寝起きに襲撃しても全然、目を覚まさなかったですから。
眠っているアフロディーテ様の上に飛び乗って、跳ねて、掻き毟って、潜って、猫パンチを繰り出して、それで、やっとモゾモゾ起き出したのだ。
一瞬で眠りに落ちて、グッスリ寝て、朝はパッと起きるシュラ様とは随分と違う。


「こんなナリでは聖闘士としては役立たずだし、せめて血を差し出すくらいはしてもらわないとね。」
「ミギャー!」
「シャー!」
「役立たずではないと言っていますよ、シュラもアイオリアも。」


これ以上、この好戦的な猫ちゃん達を煽るのは止めてください、アフロディーテ様。
また大騒ぎになって、お部屋の中を荒らしかねません。
私は溜息を吐きながらムウ様に近付くと、シュラ様とアイオリア様の小さな頭を、同時に撫でた。
黒猫ちゃんのツヤツヤ感と、モフ猫ちゃんのフワフワ感。
違う感触を、右手と左手で同時に味わえる、この素晴らしい幸福感よ……。


「アンヌ、彼等を受け取ってください。」
「え、でも、逃げ出してしまいますよ?」
「もう大丈夫でしょう。貴女に撫でられて、力も抜けたようですし。」


差し出されるままに猫ちゃんを受け取ると、ムウ様の言う通り、シュラ様もアイオリア様も、まったりモードに変わっていた。
抱っこした途端にゴロゴロと喉を鳴らして、二匹同時に小さな顔を私の身体に擦り付けてくる。
ううん、擽ったいです。


「……このエロ猫共め。やっぱりムッツリだ。シュラだけじゃなくて、アイオリアもムッツリだよ。」
「そうですね。この状態を見てると、ムッツリは納得です。」


いやいやいやいや、そんな二人でジッと見ないでください。
何も楽しい事はないですよ、猫ちゃん達が私にスリスリしているだけの姿なんて。
時間の無駄です、無駄。


「で、キミはココで何をしてたんだい、ムウ。蟹なら兎も角、キミが猫共と一緒にいるなんて珍しい。」
「私は留守番です。貴方の言う通り、元はデスマスクが居たのですよ。それに、ミロも。」
「その二人は居ないみたいだけど?」
「用事があって、宮を空けたのです。それで、偶然、ココに居合わせた私が、留守番をする事になったのですよ。」
「用事ねぇ……。」


そろそろ戻ってきても良い頃だと思うのですけどね。
三十分くらいと言って出て行ってから、丁度、そのくらいの時間が経っている。
もしかして、仔猫ちゃん達の引き取り先である煙草屋の旦那さんと、可愛い猫ちゃん談義で盛り上がっているとか。
それで予定よりも遅くなっているとか。
有り得る、有り得ますよ。
デスマスク様は、あの見た目でも、多分、黄金聖闘士イチの猫ちゃん好きだもの。


「ね、シュラ様、アイオリア様?」
「ミャー。」
「ミー。」
「蟹が猫好きとか、どうでも良いよ。アレが猫を侍らせてニヤついてる姿なんて、想像もしたくない。」
「デスマスク様は猫ちゃんと一緒に居ても、ニヤニヤしたりはしないですよ。」


サガ様とアイオロス様は凄いですけどね、顔も、態度も。
私は、嫌がる猫ちゃんの気持ちを無視して、溺愛っぷりを発揮するお二人の姿を思い出し、苦笑いを浮かべた。


(つづく)



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