教科書
「なぁ、」
「うるさいです、消えてください、さようなら」
この女はなんだっていうんだ。
俺はただ話しかけてるだけだし、教科書を忘れたこいつが悪い。
先生に言われて、机をくっつけて、教科書を見せてやってるだけなのに。
俺はまったく悪くないのに、その言い草はないだろう。
彼女は、自分の椅子を壁にくっつくまで遠ざけて、その上体はぴったりと壁にくっつけ、ふいっと窓の外を眺めている。
授業を進めている気弱な女教師も、自分の判断が悪かったのかと、チラチラとこちらを見て焦っている。
「なぁ、教科書」
「いらないです、うるさいです、大きなお世話です、死んでください、さようなら」
最後にご冥福をお祈りします、とだけ言って、またぷぃっと視線を戻す。
俺はまだ死にたくない。
「おい、どうして見なかったんだよ、教科書」
授業が終わったので、俺はまたあいつに話しかけた。
「そ、それは…」
言うなり、こいつはカァァと頬を赤くした。
こんな真っ赤なのに、隠そうとしないのが彼女らしい。
「あなたに近づくと、胸がドキドキして、体が熱くなって、何も考えられないから…」
どうやら、この子は俺が思っていたよりずっと、可愛い子みたいだ。
いつもはっきりとしている目は、何処か不安そうに揺らいでいた。
俺は、そんな彼女の綺麗な髪に触れて、口を開いた。
「俺も同じだ、お前に近づくと、ドキドキする。これ、恋って言うんだぜ」
「恋って…ヘンなの」
ずっときつく結んでいた口が少しだけゆるんで、彼女は笑った。
「それ、反則だろ」

教科書
(こんな綺麗な笑顔を見たのは初めてだ)

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れいさまより、英学パロ夢リクでした!
遅くなってしまってすみませんあばば><
よろしければ受け取ってください!
ツンデレ子ちゃんかわゆす!←
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