キミで窒息
「私は、シカマルの影に首絞められたいなあ…うっとり…」
そう呟いた私を凝視して、シカマルが口をぽかんとさせた。
「シカマル変な顔。お間抜けさんみたい」
「お前にゃ言われたくねーよ。何言い出すのかと思えば…」
シカマルが大きな溜め息を吐く。
私のせいだとでも言いたげな視線が送られてくるので睨み返してやったら、
「めんどくせ…」
なんて決まり文句を一つ、シカマルはごろりと横になってしまった。
「あー!そうやって食って寝て繰り返してるといつかぶくぶくのデ…」
そこまで言って反射的に口を手で覆う。
でもそれは今の私にはあまり必要のない配慮で、今この場には私とシカマルの二人だけ。
デブという言葉に過剰な反応を起こすチョウジは居なければ、私にべったりな、いのも居ないわけで。
私はシカマルの背中をじとっと見つめて、触った。
びくり。
シカマルの背が揺れる。
「シカマルくーん、あっそぼー」
「…寝る」
素っ気ない返事に多少のイラつき。
背後からシカマルの背中にぴったりと寄り添ってみた。
「シカマルあったか」
「なにしてんだよ」
「シカマルに甘えています。かまってかまって〜」
ぐるんとシカマルが体を回転させてこちらを向いた。
正直、この距離はキツい。近すぎる。
「…ちゅうする?」
「しねえ」
「えっ、なんで!?好きな子と二人きりで、しかもこんなに近くに居るのにちゅうしないの!?」
シカマルが思い切り目を反らした。
「…めんどくせー」
「シカマルはめんどくさいんじゃなくて、恥ずかしいんだよ」
そう言って、シカマルのほっぺたを両手で包んで。
ちゅ。
「シカマルからはしてくんないわけ?」
「はいはい、しますよ…」
シカマルの手が、シカマルの大きな手が、私の顔を包んで、唇をくっつけた。
それから、何度も、何度も角度を変えて、ゆっくりじっくり。
呼吸が苦しくなったころにシカマルがそっと離れた。
「んー、うまい!!」
「なーに言ってんだか…」
シカマルのが触れていた自分の唇を、人差し指でそっとなぞる。
シカマルはもう向こう側を向いて、寝転がっていた。
「シカマルに首絞められたいなあってのはさあ…。シカマルのおっきな手に包まれて窒息したいなって事だったんだけどさ。これもなかなか、苦しくていいかも」
シカマルの真っ赤になった耳を見つけて、取り敢えずがぶりと噛みついてみた。

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