働け、バンパイア!!
「ただいま」
「おかーえりーめしー」
「お前な…」
仕事から帰ってくるなり、そいつはテレビの前でポテトチップスをバリバリと音をたてて頬張っていた。
こっちは疲れて帰って来ているというのに。
「鬼道ーめしぃー」
「うるさい、飯が食いたければ働け、このエセ吸血鬼が」
するとポテトチップスを口の周りに付けたなまえが、ムッとした顔で振り返って言う。
なんだその顔は。
「ふん!こっちはハラが減って死にそうなんだぜ!早くしろよお!」
「菓子食ってるだろ、」
「こんなんじゃ、ハラの足しにもならないぞ!真っ赤のあれが欲しいのっ」
「トマトジュース買ってきてやったぞ」
「わーい!」
なまえはトマトジュースに飛び付いて、ペットボトルのままごくごくと飲んでいる。
吸血鬼と言っても、血液だけが主食ではないのだ。
以前になまえが、私は吸血鬼のなり損ないだから血はおやつ感覚でいーんだぜとか言ってた気がする。
「じゃ、そういうことだ。俺は寝る」
「え、ちょっと!待てって!」
「なんだ、俺は疲れてるんだが」
「鬼道本当に寝るのかー?」
「夕飯は食べてきたしな、寝る」
騒ぐなまえを無視して布団に潜る。
まだ気配はあるからベッドの側にでもいるのだろう。
「なぁ、鬼道…?今日はおやつでいいからさぁ。…本当に疲れてるのか、鬼道。大丈夫か?」
がさがさとなまえが布団に潜ってきて、手が腹部に巻き付いてきた。背中にぴったりと貼り付かれてなまえの体温が伝わってくる。
なまえの体はひんやりと冷たい。
「鬼道はあったかいね…」
「……」
「分かったよ、今日は鬼道の血ぃガマンする…」
「…なまえ、」
「なーんてな!」

がぶり

「いっ…!!」
「んぅー…、おいひ〜」
「はぁ、…ん、なまえ、やめ…」
首筋から次から次へと血が吸いとられていく。
少しだけくらくらするのは、さっきまでのムードのせいであって欲しい…。
「い、いい加減に……しろー!!」
「きゃははは!鬼道が怒ったああ!ごちそーさん!」
「待て、なまえ!今度こそ追い出してやる!!!」
「いひひ!出来るもんなら、やってみろーっ!」
なまえが血が垂れた口元を、ぺろりと舐めた。

お詫び企画人外/吸血鬼

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