落書きチョコボ

二人仲良く並んでそれぞれの参考書を広げて。嫌いではないが好きでもないテスト勉強が少しだけ好きになった。少なくとも今の瞬間は。来年もその次も、こうして肩を並べていられるだろうか。
ふと、どんな勉強をしているのか気になった。自分の興味のある分野に進むべきで、決してクラウドがいるからなどという浮わついた理由で進路を決めてはならないと分かっている。だがクラウドが何を学んでいるかを知れば、クラウドをもっと知ることができるかもしれないと思った。ちらりとノートを覗き込む。小さく几帳面な字の他に、いかにも横から茶々を入れたような落書きがあった。
「何だ…?」
「ああこれ…バッツの悪戯書き。意外と絵上手いよな」
のほほんと答えるクラウドに心がざわめく。たまたまクラウドとそう年が変わらず、たまたまクラウドと同じ大学に入学できただけなのに、何でアイツはクラウドの恋人である自分より美味しい思いをしているのだろう。補欠入学のくせにっっ。
「…楽しそうだな」
ちゃんと授業を聞いているのか?高い金を出して通っているのだからなどと母親染みたことは言いたくないが、真面目なクラウドがバッツに引き摺られているなら正してやらないと。
「単位落とすなよ」
「大丈夫」
どのページを捲ってもバッツの落書きは続いていて、とても大丈夫には思えない。だがクラウドは余裕があるように見えた。
「バッツが過去問くれたんだ。もう何年も問題変わってないから丸暗記すれば大丈夫だって」
バッツって本当に要領いいよなとクラウドが笑う。俺に全部任せとけと胸を叩くバッツが脳裏に浮かぶ。コイツには勝てないのかもしれないとスコールは密かに唇を噛んだ。

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