事実inオープンキャンパス

ジタンから連絡が来たのはあれから数時間たった時だった。
バッツ、ティーダ、そしてスコールの3人は最初はサッカーをしていた。
やがてスコールはバッツからのキラーパスにより、何故クラウドと付き合うことになったのかとティーダに問われて問われて問われまくっていたときにジタンから連絡がきたため、バッツの『その話はまた今度』という一言でその場はおさまった。

『ジタン!こっちこっち!』
『あ、バッツ!』

バッツが大きく手を振り、こちらに気づいたジタンが走り寄って来る。

『やっぱり女の子たちの視線、ジタンに向いてるっスよね』
『…あぁ』

女の子たちの黄色い声も嬉しそうな表情も先ほどとは変わらず、むしろ先ほどより増えたように感じた。
しかし、近寄ってくるわけでもなければ、危害を加えられるわけでもないので、4人は何もしなかった。

『お待たせ!待っててくれてありがとな!』

ニカッと笑うジタンに、

『いやぁ…なんかジタンて男前っていうか可愛いっていうかカッコイイな』

率直に感想を述べたバッツ。それにジタンはサンキュー!と答えた。
スコールは、普通可愛いとか言われたら嫌じゃないのか?とか思ったが、クラウドも可愛いからまぁありかなどと思った。

『早くクラウドに会いに行くっスよ!』

ティーダは待ちきれんとばかりに走りまわり、4人はクジャがいるであろう準備室へと向かった。
ジタンは、そういえばクジャ先生を知ってるみたいだけど知り合いなのか?とバッツに聞かれて、あぁまぁ…と言葉を濁して言った。





コンコン
ノックをしたのは、バッツだ。

『どうぞ』

聞こえたのはクジャの声。

『クジャ先生〜』

ティーダを先頭にずらずらと中に入る。

『……クラウドは?』

スコールが部屋を見回したが、そこには意中の人はいなかった。

『あぁ、彼なら"人数が増えたらしいからおやつを仕入れてくる"と言って出て行ったよ』

クジャが飲んでいるのはローズヒップティーだろうか。甘酸っぱい香りが部屋中に漂っていた。
そして、カップに口をつけてクジャが飲もうとした、が、慌ててカチャッと音をたててカップを置き、立ち上がった。

『…ジタンっ!?』

ティーダ、バッツ、そしてスコールの後ろに隠れていたジタンを見つけ、クジャはジタンに近づいた。

『よぉ……久しぶり?』

嬉しいようなそうじゃないような、曖昧な表情をうかべたジタン。

『やっぱり知り合いだったんスねー』
『あー…知り合いっていうか、』
『何を寝ぼけたことを!この可愛い顔を見ても気づかないのかい?ジタンは僕の弟さ』
『『弟ーっ!?』』『…』
二名の叫びに、一名の無言。

『うわ全然似てないっス!』
『ジタンはまともなのに!?』
『どういう意味だい?!』
バッツとティーダの二人はクジャからげんこつをくらった。
スコールは無言だったものの、クジャとジタンを交互に見ていた。
人間、どこでどうなるかわからない。人間の奥深さにスコールは目眩を覚えた。

『そんなことより!』

クジャがガバッと両手でジタンの顔を包んだ。

『変装してないじゃないか!』
『別にしてなくてもいいだろっ』
『どこで変態が見てるかわからないんだよ?君は顔が知れてるんだから、もう少し自覚を持たないとダメだね』
『うっさいなぁ!大丈夫だっつーの!』

繰り広げられる、兄弟の言い争いに、ちょっと待った!と声をかけたのは、またしてもバッツだった。

『変装ってなんだよ』
『変態ってなんスか』
『クラウドはまだか』

三者三様の問い掛け。
若干一名がズレていた。

『そういえば何故ジタンとこいつらが一緒にいるんだい?』

仮にも教え子。直接的な授業は少なくても、同じ大学の教授と学生。にも関わらず、こいつら呼ばわり。だが、それに反論する言葉は三人からではなく、ジタンからあがった。

『友達になったんだよ!』

クジャにキパッと言いきったジタン。ジタンの男前度がバッツたちの中で密かにあがった。

『ふぅん…まぁどうでもいいんだけどね。僕としては君がここに通うことは嬉しいけれども、仕事に差し支えはないかい?』

それに反応したのは、スコールだった。

『仕事って何だ?』
『あ、えっと…』
『なんだいなんだい。君らの家にはテレビが無いのかい?雑誌は読まないのかい?舞台を見に行かないのかい?』

言いにくそうにするジタンに変わり饒舌に話すクジャ。

『テレビはあるけど』
『雑誌も読むっスけど』
『仕事と何の関係が?』

またしても三者三様。
クジャはほとほと呆れ返ってため息までついた。

『この可愛い顔をご覧よ!ジタン!ジタン・トライバルと言ったら今話題の実力派俳優だよ!テレビで見ない日は無いだろう?!』
『『は、俳優!?』』
『…実は、そう』
『……』

少し、ほんの少しだけ静かな時間が流れた。

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