楽しみinオープンキャンパス

ジタンはスコールから腕を離して、そのまま頭を抱えた。

『ちょっと待てよ?クラウドは絶世の美女なんだろ?』
『そもそも誰も美女なんて言ってないぞ』
『え?だってティーダがさっき…』
『クラウドは超美人で超綺麗で超優しいって言ったっス!事実だし!』
『え??だってスコールとできてるんだろ?!』
『ジタン君や…今の世の中性別にこだわってたらやってけないぜ?』
『そうそう!男ならドーンと受け止めろ!っス!』
『でもクジャが気に入ってるって!!』
『あの先生は綺麗な人間が好きなんだよなぁ』
『俺達には目もくれないっスよ。…あ、スコールはなんか言われてたっけ?』
『……』

スコールを除く3人で会話をしていたのにも関わらず、突然ティーダにフラれたスコールは無言を貫いた。
以前『君もまぁ…綺麗とは少し違うけれどこちら側にいれてあげないこともないよ』とかなんとかクジャに言われたことがあった。
こちら側がいったいどこなのか、知りたいようで知りたくないスコールだった。

『だぁぁぁぁ!よし!わかった!そんなに気になるならクラウドとクジャに会いに行こうぜ!』

言い出したのはバッツだ。

『行く行く!会いたいっス!クラウド〜!』

そう言うティーダは昨日もクラウドに会っているはず。
どんだけ同性から好かれてるんだアイツは、とスコールの口からため息がでる。
異性よりはいいかと思っていたが、アイツ好きな男がこれ以上増えるのも考えものかもしれない。普通な一般男性ならまだしも、クラウドの周りには変態もいる。その変態が、クラウドだけではなく、クラウドが大事に思ってるコイツらに危害を加えないことをただただスコールは願った。

『行っていいのか?!』

ジタンの顔がぱぁっと明るくなった。が、すぐに困惑が浮かび上がる。

『あ、でも俺これからオープンキャンパスだし』
『そんなの!終わるまで待ってるっスよ!な!』
『もち!あ、携帯!番号とメアド交換しようぜ!』

わいわいと賑わう三人組。一人さてどうするか、と考えていた矢先、バッツにスコールも携帯!と言われ、あれよあれよとメモリにジタンが登録された。

『…なんか、楽しいし!嬉しいぜ!』

ジタンがとびきりの笑顔を見せてくれる。
小さい頃から仕事をしていたせいか、あまり友達とわいわいがやがややったことがなくてさ、とジタン。

『…仕事?』

スコールはひっかかったが、バッツもティーダも俺らも楽しいぜー!と言って盛り上がっていた。
この分でいけば、スコール一人での行動は抑圧されるに違いない。
クラウドには一刻も早く会いたかったが、スコールはメールをうつ。
"皆と後で行く"
すぐに返信がきた。
"わかった"
そっけない送信にそっけない受信はいつものこと。

『じゃ!ちょっと行ってくるわ!終わったら電話する!』

ジタンは手を振りながら走って行った。
後ろにいた女の子達も、きゃあきゃあ言いながらジタンの後を追って行った。

『結局あの女の子達ってなんなんスかね』
『…さぁな』
『もっかいサッカーやって待ってようぜ!』
『俺はいい』
『あースコール逃げるんスか?そんなんでクラウドを守れるんスか?』
『っサッカーは関係ないだろ!』
『あるある!大ありだ!判断力に瞬発力、持久力が試されるだろ!』
『そうっス!』

言いながら3人でボールを蹴り回していく。



『まるで高校生みたいだね』
『あぁ』
そんな光景を、偶然通りかかったセシルとウォルが暖かい眼差しで眺めていた。


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