クラウドセンセイ

遠くからぱっと見た感じだとクラウドは本当にストイックで性別なんか超越しているように思える。クラウドの周りだけ空気が澄んでいて別世界のように見える。例えるなら早朝の露に濡れた花のよう。それが表情を持つと一変して鮮やかな色が溢れだす。そう、今みたいに。
「ん…っは…」
スコールの上に跨がり腰を振るクラウドの色香は渇れた爺でも勃つんじゃないかと思う程だ。苦しそうに、だがどこか恍惚の表情でスコールを食むクラウドを下から見上げながら、スコールは快楽に追い詰められるような感覚を楽しんでいた。時折下から突き上げてやれば悲鳴を上げながらその身を震わせて締め付ける。それに煽られながらも快楽に溺れる顔を堪能する。涼しい顔をして何度もイカせ、お願いだから許してとすがりつくまで攻め続けるが、実はこちらもギリギリだったりする。それは突き立てているものがクラウドの中で散々暴れているからよくよく考えれば分かることだが、幸いクラウドは自分の身すらもて余していてそれには気付いていないようだった。
「スコール…もう…」
何度も絶頂を迎え、触れられるだけで達してしまいそうなクラウドがスコールに訴える。これ以上は苦痛にしかならない。
クラウドのいやらしい顔も体も十分に堪能したし、何より辛そうだ。今夜はそろそろ解放してもいいかと体勢を入れ替えてクラウドを組み敷いた。
「クラウド…」
耳元で囁くとぞくりと震えたのが分かった。この後の快感を待ち望んでいるのだろう。腕にすがりつく手をそっと解いて自分の手を重ねた。ふと、視界の端にきらりと光が映った。そちらに顔を向けると机の上にメガネがあった。それを見て今日のクラウドを思い出す。少し緊張した面持ちのクラウドは頬が紅潮して色気を振り撒いていた。そして周囲から繰り出されるため息は確実に色めき立っていた。
あのメガネに度が入っていないことはスコールと…バッツくらいしか知らない。色気が増すから多用してほしくないが、本人が気付いていないから何度説明しても分かって貰えない。
「…クラウド」
「な、に…?」
よそを向いたまま動きが止まってしまったスコールを不思議そうに見上げていたクラウドの顔が曇る。何か、スコールの気に障ることをしてしまったのだろうか。
「メガネ」
「…は?」
「人前でメガネをかけるのをやめてくれ」
事の最中に唐突もない話題を振られてクラウドは混乱した。それを今言わなければならない理由はなんだろう。
「でもあれがないと緊張するし…」
それは以前にも説明したはずだ。大勢の人の前に立つのは恥ずかしい。メガネをかけると自分の前に見えない壁ができたような気がする。それに守られているから講師の真似事もできるのだ。
「それは気のせいだ」
スコールはばっさりと切ると机からメガネを取りクラウドにかけた。
「先生」
クラウドがはっとしてスコールを見上げた。その表情に怯えを含んでいるのはスコールの口元が吊り上がっているからだろうか。
「ここ、何で濡れてるんだ」
「っ!」
腹に付くほど勃ち上がり、ぷっくりと透明の粒が浮かんでいるそれの先端、割れ目に指の腹を擦り付ける。クラウドが体を震わせてきつく締め付けるのを耐えてそこに指を絡めた。
「なあ、教えてくれ…センセイ」
やんわりと握り上下に扱く。揺れた拍子につ、と滴が流れ落ち、それからはとめどなくぬるりとした体液が溢れだす。次第に指を濡らしてぬちゃぬちゃと音をたて始めた。
「っ、あ…すこー…」
「気持ち良い?…センセイ」
「っ!」
囁くように耳元で声を掠めるとクラウドが目を見開いた。わざとゆっくり笑みを作る。
「教えてくれ」
クラウドセンセイ、と語句を強めるとクラウドがふるふると首を振った。それを気持ち良くないのかとわざと意味を取り違えて今度は腰を動かした。
「これだけじゃ足りなかったか。どうしたらセンセイを満足させられる?…ここか?」
「あっ…ああぁぁぁっ」
今まで散々重ねてきた体だ。いいところなんか知り尽くしている。泣き所を攻めると呆気なく果てた。スコールを包んでいるそこもびくびくと収縮を繰り返し締め付ける。
「っ…く…」
歯を食い縛りそれに耐える。ぱたりと額の汗がクラウドの頬に落ちた。
随分と薄くなった精液を受け止め指に絡める。目の前でわざと舌を出して舐め取り意地悪く笑うと、クラウドは羞恥に震えながらも目を逸らせずこちらを見ていた。未だ熱を含んだ視線にぞくりと背中が粟立つ。と同時にクラウドの中の自身の熱が更に上がったのを感じた。
「ひ…あ…スコ…っ」
センセイ、と耳元で囁くとまた締め付けがきつくなる。スコールは濡れた手でくったりとしているクラウドのそれを握った。
「スコール!」
「何?センセイ」
「もう…」
クラウドの限界がとっくに過ぎているのは知っている。だが自分ではこの熱をどうすることもできない。
「もう、何?はっきり言ってくれないと分からない」
「ひっ…」
柔らかいそれを上下するとにちゃにちゃと卑猥な音がした。ダメだとか言いながらも体は正直で、また芯が硬くなる。
「スコール…」
クラウドが苦しそうに眉を寄せて閉じていた目を開ける。次に発した言葉にスコールは我を忘れた。
「スコールをイカせたい。どうしたらいい?」
「っ、」
艶を含んだ濡れた瞳が上目遣いで見上げている。震える手が頬を包み、引き寄せられた。引き寄せる腕に力など残っていない。それでも抗うことはできずに唇を重ねる。触れるだけのキスの後に見せた笑顔は何よりも美しかった。
今まで我慢してきたものがスコールの中でぷつりと切れた。クラウドの体力だとか明日のことだとか。そんなものは一切忘れて腰を打ち付ける。クラウドの悲鳴も自分の荒い息遣いも何も聞こえない。ただ快楽だけを追いかけた。

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