セクハラは教授のたしなみ

『よぉ』
『…何か用か』
準備室に入ろうとしたところを、クラウドは呼び止められた。
『さっきうちのバカ息子の声がしただろ?』
『……知らないな』
『とぼけんなって。なんだ?連れ込んだのが見つかったのか?』
ニヤニヤとからかうような視線を寄越すジェクトにクラウドはどうしたものか、と息をついた時だった。
『こんなところで何をしている』
クラウドの背中に鋭い声が響いた。
『……セフィロス、』
『教授をつけろ、クラウド助手』
まだ教えが足りなかったか…?とセフィロスはクラウドの耳元で囁いた。
『っ…』
顔を背けるクラウド。それを見ていたジェクトは興が削がれたかのように、
『あーぁ邪魔しやがって。これからクラウドといいことしようと思ってたのによ〜やめだやめ!じゃあな』
そう言って立ち去って言った。
『…教授、いい加減離れてください』
ジェクトがいなくなっても、クラウドのすぐ横にはセフィロスがおり、セフィロスは、背けたままだったクラウドの顎に手をやり、顔を向かい合わせた。
『二人きりのときには教授はつけるなと言ったはずだ。やはり…一から教え直してやろうか?』『結構だ!』
セフィロスの唇がクラウドのそれに触れそうになるほど近づいた時、クラウドは後ろに体を持って行かれ体勢を崩し、声の主によしかかることになった。
『スコール!』
見上げた先には、準備室の中にいたままのスコールがいつのまにか準備室から出てきて、ものすごい剣幕でセフィロスを睨み付けていた。
『フン…とられて困るものならしっかりと掴んでいることだな』
『アンタに言われなくてもそうするさ』
『クラウド助手。お前の生徒にきちんと口の聞き方を教えておけ』
『気安くクラウドの名前を呼ぶな!』
一触即発とはまさにこのことか。クラウドは埒外があかない二人に、スコールの手をとり、セフィロスに失礼しますと言って、準備室に入って行った。そしてもちろん鍵をかけて。
セフィロスは面白い玩具でも見つけたように笑い、過ぎて行った。
『あいつと話さないでくれ!』
『無理。あの人上司だし』
『じゃあ触れさすな!』
『別に触らせてるわけじゃない』
『クソッ!』
スコールはそう言い捨てるとクラウドに無理矢理キスをした。
『…っ!……ちょ』
クラウドはスコールを引き離す。
『まだ学校だ!さっきのこと忘れたのか?』
さっきのこと、それはティーダにばれてしまったこと。ティーダは真っ青になって、「こんなの嘘だ!夢っスー!」と走り去り、バッツは「面白そうだからついてってみるわ」と追っかけていった。
『だってクラウドが!』
『……俺が好きなのはスコールだけだ。そんなに心配なら…他の誰にも、触らせないように、する。…ダメか?』
小首をかしげて、スコールを見つめるクラウド。
そんなことをされたらスコールだって許さないわけにはいかない。
『わかった。だが本当に気をつけてくれ』
そうしてスコールはクラウドを抱きしめ、再びキスをした。
ガダッ
何かが落ちる音を聞いて、クラウドとスコールは音がした方を見れば…
『いや!あの!み、見るつもりはなくて!ごめん!すまない!じゃなくて!お、俺!帰る!』
『フリオニール!』
そう、準備室にはあらかじめスコール以外にもフリオニールがいた。ティーダ真っ青事件のあとに資料を借りに来たのだが、そのあとすぐクラウドが用事で出たために、スコールと二人でクラウドの帰りを待っていたのだった。
フリオニールはドアの鍵がかかっていることに気づかず、がちゃがちゃとあれ開かない!などとやっていた。
クラウドは当分はこの部屋では何もしないということを心に決めた。
スコールはいいところをフリオニールに邪魔されてしまったため、ふて腐れていた。

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