一日目終了その後

さっきまで暖かい教室にいたからか、外の空気はとても寒くて、思わず肩を縮めた。
クラウドが試験監督として自分を見守りにきてくれた喜びがでかすぎて、ティーダと話すまでその危険性を考えなかった自分にショックを隠せない。
クラウドは誰もが惹かれてやまない、できることならそばにいたいと、そう思わせてしまう人間だ。本人にはまったくもってそのような意思はないのだけど。
携帯の電話帳から急いでクラウドの名前を出して。
呼び出し音すらも煩わしくて。
何回目かのコールの後に、もしもし?と聞こえてきた声は、やはり愛しい。

『今どこにいる?』
『今…?まだ試験監督のバイト中だ』
『いつ終わる?』

自分でも急かしていることはわかっていたが、止まらなかった。

『あと2時間ぐらいかな。センターはどうだった?』
『俺のことより…!』

言いかけて、やっと思考が止まった。
バイト中なら、まだ危険因子はクラウドには接触できないはずだと。

『スコール?どうした?』
無機質な電話の向こうで、クラウドが少し戸惑っていた。スコールに限ってまさかセンター失敗したなんてことありえるはずがない。しかし、スコールから返事がこなければ、そのクラウドがもつ自信が少し崩れてしまったのだろう。

『…悪い。試験は大丈夫だ。心配ない。それより…』
『それより?』
『2時間後迎えに行く。今のこの大学の門で待ってる』
『スコール、アンタは受験生だし風邪ひくとダメだから』
『大丈夫だ。迎えに行く。いいな?じゃ後で』

そうして向こうが何かを言ってくる前に電話を切った。
大事な試験の直前にも関わらず、クラウドに惹かれてざわついていた人間はたくさんいた。
クラウドを待ち伏せしていたりする輩もいるかもしれない。
出る杭はうつ…というより燃やしてしまった方が早い。
スコールは2時間を、学内のカフェで過ごすことにした。

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