記者向け速記用として1978年に発売され、2015年6月に設計が小変更された0.9mmシャープペンシル。軸色6色、日本製。
太軸でもなければ、もはや標準的になってしまったゴムグリップでもない、旧い設計の製品。たいへん良い。
今回取り上げるのは現行品(新型)のほうです。記事中、白軸が新型、黒軸が旧型。
新型は樹脂製チャックになって価格200円(税込220円)を維持しました。またPRESS MANロゴに線が入っています。
付属芯:標準的な替芯の1.67倍100mm長1本2B、
別売替芯シン9-100Lも100mm長です。
替えゴム、ケシゴム-100Gノック負荷約400g、芯繰出し量0.7mm/ノック、残芯12.5mm。
樹脂製でも十年以上は作動し続けるんじゃないかと予想します。
旧型より口金の芯保持力が高く、ある種の芯を入れるときつい。同じ芯をコクヨ鉛筆シャープに入れるとすんなり入る。
その甲斐あってか残芯を6.5mmまで短くできます。旧型も同じくらい。
・ノック負荷約400g。
旧型のノック負荷約900gに対し、新型は半分以下に軽くなりました。ノック音も小さく静かです。
その弊害として、短くなった芯を、後続する新しい芯でうまく押し出せない場合があります。不可能ではないんですけど。
・クッション機構つき、約550gで作動。
筆圧が高まったとき、内部機構ごと後退して芯折れを防ぐ仕組みです。
・スリーヴ(ガイドパイプ)長3mm。
定規にあてがって線を引くこともできる筆記用口金です。
反面、ポケット生地を傷めかねないものでもあって、
コクヨ鉛筆シャープType-Mxや
ファーバーカステル グリッププラスのような収納式に座を譲ります。
ポケットクリップが手に干渉してもあまり気になりません。脱着可。
また厚地に差しやすい。
・芯室内径2.2mm。
純正替芯100mm長を1本入れられます。標準的な60mm長なら2本。
100mm長を2本入れることもギリギリできますが、給芯不良を起こすことがあります。
替芯切れに不安がある場合、いっそのこと本品を二本携えるのがよいと思います。
◆替芯シン9-100L、2Bのみ、10本入り、新旧共用
ぺんてるタフに入れると3mmはみ出すので注意。
コクヨ鉛筆シャープや他の .9mmノック式には収まります。
赤軸が加えられたこともあり、赤芯もあればいいと思います。
採点用として底堅い需要がある赤芯ですが、GIGAスクール構想が進むとペーパーテストも電子化されると予想されるため発売しても短期間しか売れないかもしれません。逆に言えば短期間で売り切ってしまえば収益化できると思います。
◆替えゴム、ケシゴム-100G、φ5.8mm×10.3、5コ入り、新旧共用
実寸φ5.7mm。
†紙はコクヨキャンパス
画像の上1行めは、書いて消す行為を1回、5行めはそれを5回繰り返したもの。
左から純正芯2B
三菱ナノダイヤ0.9 / 2Bパイロット ネオックスG 0.9 / 2Bコクヨ鉛筆シャープType-Mx付属芯0.9 / 2B (同社PSR-C2B09)消しゴムを覆うノックボタンカバーが外れやすい場合があります。
※2022年4月30日追記:ノックボタンカバー(消しゴムキャップ)を替芯容器の蓋で代用できることに今日気づいた。
消しゴムを限界まで使ったら、底部の小孔から残った消しゴムを押し出す、のですが、底部の針金を外せなくて押し出せない。
消しゴムを使えなくはないけれど、実際に使うと不具合を発見します。この点に関しては後発製品に敵いません。
ノックボタンにある針金は突針ではないので、芯を除去できません。
使う際にはノックボタンをつかんで消します。ペン軸をつかむとノックボタンがぶれて部品を傷めます。
この消しゴムは
ステッドラー900 25用77R56より0.1mm細いものの
互換します代用できます。
また往時のアメリカ製シャーペンに流用できます。
プ) 本品
C) クロス センチュリー1970年代〜80年代
P) パーカー45?1960年代〜1970年代
左から、
コクヨ 鉛筆シャープPS-PE109コクヨ 鉛筆シャープType-Mx PS-P500コクヨミーType-M KME-MPP402YG
本品新型と旧型
狭い芯室内径や消しゴム周りに欠点が見られる旧い設計ながら、充足した製品で、著名人の愛用品としても有名です。
樹脂製チャックになったのは残念ではあるんですが、賃金が横ばいのまま静かに物価上昇し、静かに衰退している日本では、真鍮チャックのまま製造できなかったと見えます。
なお日本筆記具工業会の統計資料によれば、シャーペン売上は2013年から2017年まで増大していました。以降は縮小しています。
令和2年度年次経済財政報告書長期経済統計によれば、旧型発売時1978年の
企業物価指数が91.0 (2015年=100)、
消費者物価指数が66.7 (同上)でした。
現行品が出た2015年の前年2014年の
企業物価指数が102.4 (前年比プラス3.2)、
消費者物価指数が99.2 (前年比プラス2.7)、
一人当たり雇用者報酬(年度・名目)が前年比プラス1.0%、
民間最終消費支出(年度・実質)が前年比マイナス2.6でしたから、値上げかコストダウンかで後者を選んだようです。
政府日銀の金融政策が物価上昇ではなく労働者の所得向上を目標にし、達成できていたら、コストダウンせずに値上げできたのではないでしょうか。
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