いっぽんの鉛筆のむこうに(たくさんのふしぎ傑作集)
初出1985年、小学中級向け。巻末に西條八十の詩あり。
この本から鉛筆産業が国際分業であることや日本が加工輸出国であることがわかり「平成4年から13年まで光村図書の小学4年生用の国語の教科書に掲載された」
ケトルvol3p25。
文具という物を主題に据える以上、文具本は当ブログと同じく品物を集めてページを構成する、モノ(オブジェクト)指向かつ物質主義的傾向を示します。
この本はそれらと一線を画し、鉛筆製造工程を説明するページを一割に留め、鉛筆産業に従事する無名の人々に取材しています。
互いに無関係な、血縁も民族的つながりもない人々で、彼らにはポディマハッタヤ、ランドレス、ゴンザレス、シップ、高橋、大河原、佐藤と名前がありますが、産業政策や事業計画においてはすべて数字へ変換可能な人々です。
魚の視界は、視野が広いものの端っこが圧縮され、歪んだ映像になります。
興味ある箇所だけが拡大されて見え、それ以外は小さく見えるマニア的な視界は魚眼のようだと私は思って、筆名をそれにしているんですけど、本書はその視点を超越したところにあります。
表紙写真の鉛筆に谷川の名が認められることから、写っているのは本文を担当した谷川俊太郎の私物みたいですね。
商品画像ではマイナスねじになっとりますが現物はプラスです。
DUX4322Nから調節機能を除いた鉛筆削り。あれと同じく真鍮製で重く、五円硬貨と同じ臭いがすると不評です。ドイツ製?
対応軸径8.2mmまで、切削角度約23°
とんがり係数約0.82。替刃は12N。
4322Nのダイヤル3状態で削れます。
鉛筆を少し斜めに挿し込む、のですが、削るとき@方向へ押さえるのとA方向へ押さえるのとでは、芯先の仕上がりに若干の差が出ます。
押さえると言っても力いっぱい押しつけると芯が折れます。
ドイツ鉛筆削りは日本製より大ざっぱなところがあって、芯先が捻れて仕上がる傾向があり、とくにAではそうなりやすい。
削れないわけではないのですが、品質が低いように見えてしまうのは不利なところ。
Amazonカスタマーレビュー通りバーコードが何枚も貼られていました。確かに貼りすぎ。
剥がしたあとのべたつきはアルコールで拭くのが良いと思いますよ。
市場原理に従って延々と競争を繰り返す分野がある一方、これはもはや競争に参加できない旧態依然とした時代遅れのもの。
では買ってはいけないシロモノかと言えばそうではないし、買うべきシロモノかと言えばそれもない。
使い勝手が悪いとかなんとかいうことはなく、加減すれば4322Nのダイヤル1から3までの状態を再現できたりします。