スキンシップじゃなくてセクハラです!




「お頭〜…」

控えめにノックしたけど僅かな衣擦れの音が聞こえただけでお頭の声は聞こえない。
まだ寝てるのか、とため息をついて今度は強めにノック。

「お頭!」

しかし今度は衣擦れの音さえ聞こえない。無音だ。
いよいよ苛立ってきて(少しね、少し)、ドアノブをまわした。
部屋の中は暗くて、一応窓はあるのにそこにまぶしかったのか布が詰め込まれていた。さすがに呆れた。

「シャンクスせんちょー…」

自分以外の人間が部屋に入って着てるんだから、気配に聡いはずのお頭なら起きるはずなのに、寝息さえも聞こえないってどういうこと?

「ねぇ、おかし、ら…!!?え、え、何…!!」

布団めくってやろうと思って伸ばした手を掴まれたかと思えば、布団の中から急に現れたお頭はすごい速さで俺の背中に回って抱きついてきた。というか、体重かけて潰しにかかったくさい。重さをささえきれずに上半身をベッドに突っ伏して、何、くの字型?になってる。二人そろって。

「何してんすか!もう昼だってのに寝ぼけてんすか!」
「ははは、その台詞も何回目だろうなぁ」
「はははァ!?分かってんなら手間かけさすなよバカシャンクス!」

悪態つくのはいつものことだけど、背中のニモツを押しのけられないのもいつものことで。
寝起き特有の高い、子供みたいな体温とお頭の香りに頭がくらくらする。くそ、惚れた弱みなんて分かってるよみなまで言うな。

「んー……おはよう、カイト」
「…おはよう、ございます」

よしよしと頭を撫でて離れていこうとする、お頭の指先だけ捕まえて。

「た……誕生、日……、おめでと…」
(あああ恥ずかしいなんか恥ずかしい穴があったら入りたい!)

何の反応も見せないまま黙り込んでるお頭が気になってちらっとだけ視線を向けてみたら。
バカみたいな顔して驚いてた。

「カイト〜〜〜!!」
「うわぁ!なになに、なんだよッ!ぎゃあ、どこ触って…!!」
「スキンシップだ!愛だ!」
「あああ愛だぁ!?そんなん、」

スキンシップじゃなくてセクハラだ!!


しかし、愛だ、とか言われてもう信じられないくらい嬉しくて幸せ感じてたなんて。
そんで嬉しそうにいろんなとこ撫で回してくるシャンクスの顔みたら抵抗する気もなくなったなんて。
もう40手前のオッサンの笑顔なにこれめっちゃ可愛いなんて。

ちょっと俺の頭、本当に大丈夫なんだろうか。




End.


主催企画:祝誕!に提出したシャンクス誕生日BLD。シャンクスは変態じゃない。スキンシップが大好きなだけです。セクハラじゃありません。


OP


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