これ何フラグ?




青い空、青い海、白い雲。
その中にぽつんと見えた帆船と、お目当てのマークを見つけて笑みを浮かべ、大きな鳥の背から甲板に思い切り飛び込んだ。

「うわ!ななな何だァ!?」
「よぅ、野郎共!俺ァ、ここら辺で商売やってるカイトってモンだ。郵便屋さ、よろしくなっ」
「ぽすとやぁ?」
「そーそ!東(イースト)の女の子から依頼もらって駆けつけたんだ。感謝しろよ〜?」
「ちょっと待って!どうやってここが分かったの?!」
「場所?ああ…コレだ。見覚えあるんじゃねぇか?じゃーん、び〜ぶ〜る〜か〜あ〜ど〜!」
「俺たち作った事ねぇぞ…!」
「おいおい、怪しいやつ見る目で見るなよな。これでも結構顧客抱えて、最近は結構名前も売れてきてんだぜ〜?」

ま、いいや。と、鳥かごみたいな四角いかばんから、四角い箱をそっと慎重に取り出して、鼻のやつに渡した。

「ほいよっと。あんたにだ。女性のほかにちみっこ3人もいたぜ。手配書渡されてな、これじゃわかんないだろうけど、とりあえず船の中で一番鼻のやつに渡してくれって。あんただろ?この手配書のそげきんぐさんは」
「ちちち違うぞ!断じて俺は狙撃の王様では…!」
「えー!ウソップがソゲキングだったのかー!?」
「違う!ソゲキングさんは俺のマブよマブ!おれが呼べばどこへなりとも、」
「いいからいいから、早く受け取れよ。かっわい〜子からのお届けものだぜ〜?あんなかわいい彼女がいるなんて、アンタもスミにおけねぇな!酷いわッ、俺というものがありながらあんなかわいい子と付き合うだなんてッ!」
「いやお前誰だよ!!」
「東の海のかわいい子って…もしかしてカヤさん!?」
「だれだ?」
「ほら、ウソップの暮らしてた島にいた、メリーをくれた女の子よ!ウソップの片思いの」
「ああカヤお嬢様か!」
「変な項目付け足すなぁ!べべ、別におれぁ、カヤのことをそういう目で…!」

ほうっておいたらコントが始まった。
賑やかなのは大歓迎!笑い混じりに眺めていたら、ドアから誰かが出てきた。黒髪のきれいな女だった、けどあれ?あれってもしかして?

「あら、あなた…」
「ああやっぱり!ミス・オールサンデー!ひっさしぶりだなー!あの頃は俺をご贔屓に、サンキューな!依頼ぱったりなくなったから調べたら組織抜けたっつーから、心配してたんだぜー?元気そうで良かった!」
「ロビンちゃん、あの茶髪と知り合いなの?」
「顔馴染みよ。B.W.時代、彼にはよく届け物をお願いしていたの。あなたも元気そうでなによりね、郵便屋さん。今日もお仕事かしら?」
「おう、そこの鼻のやつにな。でもぜんぜん話進まねーの。超楽しいなココ」

そしてまた、まだ繰り広げられているコントに視線を移す。
楽しい楽しい。いつも一人旅みたいなもんだからか、大人数で旅ってたまにうらやましくなる。楽しそうでいいな。旅は道連れ世は情け。俺も誰か道連れ探そうかな。

「で、ウソップに届け物ってなんだったの?」
「お、渡してもオーケー?これよこれ。食べ物じゃねぇかな?カヤさんの手作りなんだぜって、ちみっこが騒いでた」
「おー!食いモンかー!」

若干そわそわしながら、箱に手をかけてきれいな包装を解いていく。周りのやつらも覗き込んでいた。

「け、ケーキ…」
「……あんた、幸せ者ねぇ」
「おおおー、んまほー!」
「でも待って、それ食べられるの?」
「な!お前カヤが作ったものをそんな…!」
「そういう意味じゃないわよ。東の海からここまでって、相当な距離よ。何日も経ってるはずだし、箱は冷たくなかったから冷却されてたわけでもないし、大丈夫なの?」
「ははは、そういう心配か!心外だな、これでも今までクレームなんて受けたことないんだぜ。東のあの村からここまでなんて、1日もありゃあ余裕で着くっつーの!」

プチ自慢。プチ自慢ね。
あ、そうだ、と思い出してポケットを探って目当てのものを取り出し、ぽいっと鼻のやつに投げ渡す。

「なんだ?」
「クライアントからの依頼品・その2」

語尾にはぁとがつきそうな甘ったるい声で茶化す。
???が飛び交う中、これまたそわそわと封を切って中身を取り出す。そう、その2は女の子から鼻のやつへのお手紙。
静かに読み始めて、周りもシンと静かになった。面白いくらい仲良しなんだなーと変なところで感心する。やっぱり俺も旅の道連れ探そうかなー。
ぼんやり自分のことを考えてると、手紙を読み終わったのか鼻のやつが涙ぐんで、というか号泣していた。

「ぐすっ…元気になったんだなぁカヤ…!約束するぜ!おれは絶対に勇敢なる海の戦士になる!」

カシャッ

「へ?」
「はい、いただきました!ベストショット!いい土産んなったなあ」
「な、なんだよこんな姿撮りやがって!」
「ははは、大丈夫大丈夫、十分かっこいいって。んじゃ、仕事も終わったしもう行くよ。あ、ミス・オールサンデー、また依頼があったらいつでも呼んでくれ。アンタの頼みだったらいつでも駆けつけるぜー」
「ええ、ありがとう」

隣に待機させていたでっかい鳥に(名前は一応スピードっていう分かりやすい名前がある)乗り込んで飛び立った。後ろでやいやい騒いでいた声が聞こえたけど聞こえない。あーあー。


そしてまたきたクライアントの島。


「よー、カヤ。仕事完了!ほら、配達完了証明(オトドケのシルシ)。確認してくれー」
「まぁ、カイトさん!もう届けてくれたんですか?お願いしたの昨日なのに」
「まーねー。俺ってスゴイからな、これでも」

近寄ってきた依頼人・カヤにオトドケのシルシを手渡した。
それを見たカヤの嬉しそうな顔。それだけでこっちまで幸せ気分だよ。

「ありがとうございますっ……喜んでくれたみたいで良かった…」

嬉しそうに少し涙ぐみながら笑顔で頭を下げる。
そんなに喜んでくれると郵便屋冥利につきるな。
嬉しそうに写真を見るかやに、その写真はやるよ、と声をかけてスピードの背中に飛び乗る。

「い、いいんですか!?2枚も…!」
「ああ。どっちもいい顔してるだろ?さすが俺!じゃあな、またご贔屓に!」

1枚は、鼻のやつが高らかに誓いを叫んでいたとき。
もう1枚は、みんな揃って全開の笑顔を見せてる、海賊団全員の写真。もしかしたらカヤが見知った顔もあるかもしれねぇな。
うーん、俺っていい仕事するなぁ、なんて自画自賛。
飛び立って小さくなってもカヤはずっと手を振り続けてくれていた。それに俺も手を振り替えしながら、かばんから紙を取り出してめくる。

「さて、次の依頼は……、」


これって何フラグ?



(ん?封筒の中にもう1枚なんか入ってるな)
(あ!カヤとあの子達の写真じゃない!)
(おい、裏に何か書いてるぞ)


俺からのプレゼント!
Happy Birthday、鼻のやつ。

カイト


(「鼻のやつ」……!!)
(何笑っとんじゃクラァ!!あの郵便野郎許さん!)




End.

主催企画:祝誕!に提出したウソップ誕生日BLD。どんなフラグなのでしょうか。管理人も気になります。ただ、続く予定だけはありません。キリッ

OP


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