無双 | ナノ


残り香に優しく爪をたてていて、あなたはそのままでいて
何よりも生きた心地がする、故に沼の底でも構わない
冥冥の裡にゆくさきが此処になりました
せめてあなたのゆくところがうつつでありますように
たゆたうこと勿れ、まどろみは欺瞞の如くたゆとう
付き纏うのは矜恃でしょうか挟持でしょうか、そうでしょうか
剣が選ぶのは鞘か盾か人間か、それとも血か
馬鹿みたいに微笑みながら口ずさむ、こんな咽喉は欲しくなかったのに
この場所があるだけで、僕らは今日を生きることになる
誰も知らない世界の空を、私たちは知っている気がする

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