小ネタいろいろ 夕ご飯


『夕ご飯に間に合いそうにないです。ごめんなさい』週末のお泊まりの日。届いたメッセージに短く返信をして、彼の分の食事を片付け始める。自分の食事を済ませて、お風呂に入って歯を磨き、眠りについた。

──「ごめん、起こしちゃったね」「いいの」おかえりなさい、お疲れ様。

まだ暗いから夜中だろう。帰って来れないだろうな、と思っていたけど時間を作ったのかな。「ごはん、食べる?」「うん、これから頂くよ」「わかった」「あっ、ねえさんは寝てていいんだよ」「んーん」焦りを含んだ彼に首を振って、リビングに向かう。閉じそうな瞼を必死で開けた。
彼が食事をする傍ら、私も席についた。かくりかくりと船をこぎながらそこに居た。「寝ててもいいのに」「や。起きてるの」一人でごはんを食べるのは寂しいでしょう。本当は帰らない方が仕事が進むのに、それでも私の顔を見たいからなんて理由で時間を無理に作ってここへ帰ってくるのだから。

結局眠気には抗えず、テーブルに突っ伏して眠ってしまった。
朝起きたらベッドの上だった。冷蔵庫に入れていた食事は無くなっているし、洗われた食器がある。夢じゃなかったみたいだ。





一人でごはんを食べるのは寂しいでしょう。ねえさんは微睡みながらそう言った。そう言えるのは、その寂しさを知っている人だけだ。ねえさんは僕がいない間、一人でごはんを食べている。けれど、僕に「寂しい」なんて言ってくれないのだ。

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