異種と人間の娘 7
花京院の身体は、確かに生命活動を止めていた。心臓は血液を全身に送り出す動きをしていなかったし、どの筋肉もピクリとも動かず、体の熱も冷めきっていた。
なまえは花京院の傷を治した。再び、いやむしろ以前よりも使いやすくなったスタンドによって腹部の大穴をふさいだ。 なまえ自身の回復力は血液までは取り戻せなかった。しかしスタンドは花京院の全身に必要な血液を満たすほどの力を持っていた。それはスタンドを手に入れたばかりの頃には無かったはずの、大きな相違だった。
傷の治った花京院を抱き締める。水に濡れた制服は冷たかった。 しかしその頬に少しずつ赤みがさしていく。
花京院はその瞼を開いた。花京院の顔を覗き込んだなまえを視認し、なまえの頬に手を伸ばした。水によって温度の下がったその手はまだ冷たかったが、その皮膚の下を流れる血液によってやがて熱を取り戻すだろう。 その安心と喜びに、緊張の糸が切れたなまえの頬を涙がつたう。 ぼろぼろとこぼれる滴を拭おうともせず、なまえは花京院の唇にキスをおとした。花京院の温度を確かめるように触れて、ゆっくりと離れた。
「天国みたいだ」
愛する人の腕のなかで、彼はそう呟いた。
「てっきり、僕は死んだものだと思ったよ。なまえのおかげなのかい?」 「ごめんね、まだ死なせてあげないよ」
涙でぐしゃぐしゃな顔で、なまえは嬉しそうに笑った。 戻る
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