異種と人間の娘 6


スタンド能力は治癒だけ。
はじめのうちは、なまえ本人すらもそう思っていた。
旅の中で、なまえはずっと仲間の傷を治し続けた。しかし旅が進むにつれて傷が治りにくくなっていった。スタンドを使うたびに、制御がかかっていくような感覚だった。
治癒だけがスタンド能力なら、そんなことは起こらないはずなのに。
更に、スタンドで治さないなまえ自身の傷の回復も同時期から遅くなっていった。
その二つが意味することを、なまえは考えたが結局理解できずにいた。


DIOに首を掴まれながら見た緑色に、花京院の最期を感じ取った。
しかし悲しみよりも目の前の男への怒りが増幅していった。

こいつは、この男は。
私の大切な人たちを、どれだけ傷付ければ気がすむんだ。

この男が花京院を殺した。
はやく花京院の所へ行かなければならない。それなのにこの腕が、この手が私を阻んでいる。


殆ど無我夢中でスタンドを出したなまえは、治癒の為ではなく、初めて相手を傷つける為にスタンドの手を触れさせた。
その結果、触れられたDIOの腕は切り離され、地面に落ちた。
こんなことは初めてだった。誰かにこれほどまでの殺意を抱いたことも、スタンドで誰かに傷をつけたことも。

DIOが驚いている隙になまえは身を隠し、花京院のいる建物の屋上へと急いだ。

走りながら、先程負傷した首もとにスタンドを触れさせて治癒をする。なまえ自身の回復力では数秒で完治は出来なくなっていたからだ。
しかしDIOにスタンドをふるってから、スタンドの調子がすこぶる良いのだ。
荷馬車から重い荷物を降ろしたから馬が速く走る――そんな状態だと感じた。

なまえは理解し、そして確信した。
己の本当のスタンド能力を。

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