まれに悲しい音を出す グレナツ


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ナツは今、グレイの家に居た
グレイはクエストに出ててここ一週間帰ってきていなかった
予定では一日で日帰りするとか言ってたくせに
こんなに待たせやがって、一週間前から待ってるんだぞ

「グレイ・・・」

早く帰ってこないかと、落ち着かずグレイの家内をうろうろする

早く帰って来いよ
そして一番にキスしてくれよ




***




グレイの家に来て帰りを待っているわけだが、特にすることもなくソファに座りうつらうつらになっている時だった


ガチャ


玄関からドアが開く音がした
ナツは急いで体を起こし玄関に向かって走った

ドアの前には愛しいあいつ、グレイがいて、
グレイはナツが自分の家でまさか待ってくれているとは微塵にも思っておらず、待っていてくれていたことに驚いて少しの間ナツを凝視していたが、へへ、と笑った。嬉しそうに頬を少し染めて。

「ただいま、ナツ」

期待していたものとは違い、ナツは残念な思いが沸き上がったったが、目の前の恋人が間抜けにへらりと笑う姿が愛しくて抱きついた

「バァカ・・・どんだけ待たせる気だてめぇ・・・」
「・・・ちょっとてこずっちまってよ・・・ごめんな」

そう言うグレイの口端は切り傷のような痕ががあった

「お前・・・これ、」
「だからよ、クエストでてこずっちまって、ちょっと、な」
「・・・っ、キス出来ねぇんじゃねぇの」
「・・・そうなるな、」

そうグレイが言った僅か数秒後、ナツの強く握りしめた拳がグレイの頬を殴りつけていた

「・・・っ!?」
「・・・弱いてめぇが無理するからこんなことになるんだ」
「お前なぁ・・・!」

ナツの予想外の暴力と暴言に腹立たしくキレてやろうかとグレイはナツの胸ぐらを掴んだが、返そうと思っていた言葉はナツの顔を見たら消えてしまっていた

ナツの目には溢れそうなほどの涙が溜まっていた

「俺・・・グレイと久しぶりに会ったら・・・、一番にキス、してほしかったのに・・・」
「・・・」
「日帰りだって、一週間前から待ってみてもよぉ、全然帰ってこねぇし」
「・・・」
「しかもなんだよ、口怪我してんじゃあ、キス出来ねぇじゃん・・・っ!」
「・・・・・ナツ」

やけに積極的だな、とこの場の空気を壊すかのように笑って言うグレイにナツは腹が立ちうるせぇ、と目を逸してやったが、
グレイの顔はもう自分の前ではなく、自分の顔の横にきていた
グレイの手はナツの背に回っていた

「てめっ・・・、!」
「大好きだ、ナツ。有難う、ごめんな。」

耳元で低くそう呟かれ、グレイを押し退ける力なんて到底出なかった

グレイはナツの頬に唇をあて、リップ音を鳴らした
傷がある口端を傷まないように微かに開けての小さな小さなリップ音。静まる部屋には微量な音でも羞恥を煽るのに十分だった。








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title...暴君様






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