だって、何も、わかんない 豪円


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休み時間によく聞く、あの名前
それはすごく耳障りなものであって、


「豪炎寺君、超かっこいいよね」
「うん、今度サッカー部で練習試合してるとこ、見に行っちゃう?」
「いいね、行こう行こう!」


豪炎寺って、本当人気者だよなぁ

女子達がよく豪炎寺の話題で盛り上がっていることがある
きゃあきゃあと、騒いでは好きだだの、告白したいだのと恋話になる

その話が聞こえるたびに俺は胸が苦しくなり
腹のそこからなにか沸き上がる
そのなにかはきっと怒りと嫉妬でであろうとは自分でも察している

豪炎寺と俺は、既に恋人同志であって
恋人は耳を傾ければ女子達が自分の恋人の話で盛り上がっているのを聞いてしまって
ましてや大好きだの、愛してるだの
そいつの恋人がその言葉を聞いてしまったら
誰でも不安になるだろう

それがまさに、俺だ

俺以外眼中に無いと
俺が好きだと
俺を愛していると
あそこまで言ってくれたのに

俺よりも断然可愛い女子達に
俺は嫉妬している
可愛い女子と男子の俺では、どうしようにも勝目が無くて

いつかとられてしまうと不安になる
不安と嫉妬の怒りで頭がこんがらがって気持ち悪くなって、急いで豪炎寺のいる教室へ向かった

走って走ってたどり着いた教室内には愛しい人がいた

「豪炎寺・・・っ!」
「円堂、どうした息を荒くして、急用か?」

こんな俺のちっぽけでしょうもない気持ちを話したところで
呆れられるだけなのだろうな

「豪炎寺ってさ、俺のこと、好きなんだよな」

豪炎寺は驚き目を見開けば、すぐ目を細めて

「円堂、来い」

と俺の腕を掴み人っ気の少ない校舎裏に向いて走っていった
無言で走ったこの時間はどうも重苦しかった

校舎裏についた途端、豪炎寺は俺の腕を引き、押して校舎裏の壁に押し付けた
少し痛かったが、声には出さなかった

「円堂、いつ俺がお前を嫌いになっただなんて言った」

そんなこと、一度も言っていなかった
勿体ないくらいあらゆる言葉をもらったはずだ
でも、やっぱり不安になってしまって

「それは、言ってなかったけどさ、でも、その」
「はっきり言え」

低く冷たく、真剣な声に少し驚いた
俺のしょうもない嫉妬にきっと豪炎寺は怒るんだろうな
怒られたくない、けど嘘も付けないこの状況
はっきり言うしかなかった


「その・・・女子達がさ、豪炎時寺のこと話しててさ、」
「・・・」
「格好いい、とか、好き、とか愛してるとか言っててさ」
「・・・」

相変わらずだんまりな豪炎寺
だけど目線はきっ、と俺を捉えていて

「可愛い女子と、俺とじゃ、断然敵わないっていうか」
「・・・!?」
「いつか取られちゃうんだろうなぁって、不安で仕方がなくって、さ」

豪炎寺はわなわなと、小刻みに震え、
掴んでいた俺の腕をぐっとより強く握り
あんまりにもその力が強くて、痛た、と声を発してしまったと同時に、強く豪炎寺は俺に抱きついてきた

「豪炎、寺」
「お前以外眼中に無いと、前も言っただろう」
「で、でも」
「なら、今ここでもう一度言おう」
「えっ、豪炎、寺、どういう」
「お前以外、眼中にない、円堂、お前だけを愛している」


その言葉に俺は安堵したのか
涙が止めどめなく流れて
豪炎寺の背に震える手を伸ばし
強く抱きしめた
豪炎寺も、俺の背に回している腕により力を込めて、抱きしめてくれた








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切な甘いを目指した結果がこれだよェ・・・


title...依 存 症様

2011/5/22






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