魔法少女と部屋



珍しく真面目に仕事をした閻魔大王のおかげで予定より早く仕事が片付いた鬼灯は、京子の元に向かっていた。



長い廊下を歩き、自室ではなく隣の部屋の前に立つ。
昨日まで誰もいなかった部屋を訪ねるのはいささか違和感があった


扉をノックし、しばらく待つが返事がない
どこか出歩く筈もないだろうと思い鬼灯は部屋のドアを開ける。


部屋の様子は、最初に京子を連れてきた時から特別変わることもなく殺風景のまま
足元に転がるトランクは開けた様子もなかった。


ぐるりと部屋を見回すと、すぐにベッドの上で寝息を立てる京子を見つけた。


部屋の様子からして鬼灯がこの部屋を出てすぐに寝てしまったのだろう


部屋が少し埃っぽく感じ鬼灯は窓を開けた
すると窓から入ってきた風が、京子の髪の毛をふわりと揺らす。

窓から差し込む光が京子の銀色の髪の毛に反射し、キラキラと光り思わず見惚れてしまう


ベッドに腰掛けると、重みでスプリングがギシリと鳴った
そのまま京子の髪の毛に触れると、絹のような柔らかい髪はするりと手の中をすり抜ける。


「んん…」


自分以外の存在に気づいたのか、京子が薄っすらと目を開けた。
そしてベッドに座る鬼灯を、まだ寝惚けた眼差しで見つめる。



「そのまま寝てなさい、長旅で疲れたでしょう」


鬼灯がそう言うと京子は安心したのかそれともよく分かってないのか、また目を閉じた。
すぐに規則正しい寝息が聞こえる辺り相当疲れていたのであろう。



鬼灯はベッドから降り自分の部屋に戻り、毛布を持って来てそっと京子に掛ける

京子は気持ちよさそうに掛けられた毛布にくるまると本格的に寝入ってしまった。



それを見届けると、鬼灯は部屋を後にした。





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