絵空事2



「んんっ…」


重ねていた唇は下へと移動し、首筋へと舌を這わす
くすぐったい感覚にふふっと笑うと白澤様がこちらを見上げて来た



鬼灯様と白澤様はよく似た顔をしているが、女性の抱き方は正反対だと思った。

鬼灯様は壊すように私を抱くが、白澤様はまるで壊れ物を扱うかのように私に触れる


私なんかに優しくしなくてもいいのに、なんて思いも全て忘れさせてくれるぐらいに白澤様はいつも優しく私を抱いてくれるのだ。

「京子ちゃん、僕以外の男の事考えてるでしょ」

「いいえ、白澤様の事を考えてましたよ」


「そうなの?嬉しいなー
京子ちゃんはまだ僕の所に来る気ないの?」


白澤様は度々、こんな事を言うのだが
きっと本気ではなく皆に言ってるのだろう

私は返事の代わりに白澤様の唇にキスをした。
白澤様はふわりと笑うと私の着物を脱がす

「まぁ、僕以外にも京子ちゃんを独占したい奴がいるみたいだけど」

白澤様は目を細めて私の首筋のキスマークに触れる。

「はは、どうでしょうか…」


きっと誰が付けたなんてお見通しなのだろう
私は苦笑いするしかなかった。


白澤様は以前、僕と京子ちゃんは似てるよね
と言っていたけど
私と白澤様が似ているのは不特定多数の異性と関係を持つという所だけで、全ての女性に愛情を注ぐ白澤様と違って私は誰も愛した事なんてない。
似てるようで、全然違うのだ。



「京子ちゃん、愛してるよ」


白澤様はそんな私の気持ちを知ってか知らずか、甘ったるい声で愛を紡ぐ

それに応えるように私は目を閉じると
あとは白澤様に委ねて快楽の波に飲み込まれるだけ。



誰にいくら抱かれようと、私の心が満たされる事は決してなかった。



END

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