絵空事


事情中、女なんて生き物は口では愛を紡ぎ喘いでいながら別の事を考えていたりするものだ。



鬼灯様に組み敷かれながらも京子はそう思った


私と鬼灯様は、特にお付き合いしているわけではなく、長い年月を上司と部下という形で過ごし
ふと気付いたら体を重ねる関係になっていた。
どちらから言い出した事だったのかはもう定かではない。


特定の相手というのが居ない私には、鬼灯様の他にも何人か体を重ねるだけの関係の人がたくさんいる。

所詮は都合のいい女というヤツだ
でもそういう行為は嫌いじゃないしストレス発散にもなるし…
今更誰かと恋愛なんて面倒くさくてやってられない。




なんて考えていると形の良い唇が京子の唇を塞いだ。
少し口を開けるとすぐに舌が侵入してきて口内を責め立てる



鬼灯様は基本的に苛めるのが好きで
それは事情にもよく表れている


激しく責められるのも嫌いじゃない私は、潤んだ瞳で鬼灯様を見上げてわざと加虐心を煽っている。

それでも鬼灯様の切れ長な鋭い目で見つめられると少々ドキリとはする
てゆうかときめかない女性はいないと思う


私は一旦考え事をするのを辞めて、与えられる快楽に身を委ねた。








そんなこんなで散々苛められて


ずくずくとした痛みを腰に感じながら布団にくるまり
煙管を吸う鬼灯様をぼーっと眺めていた



私の視線に気付いたのか、鬼灯様はふわりと私の頭を撫でた。


「京子…貴女、行為中に何か別の事考えてますね」


ドキッ

まさかそんな事を突然言われるとは思っていなくて
何か言い訳しなくてはと考えてるうちに
鬼灯様は私の首に噛み付き、ちゅっと吸うと赤い跡を残した
まるで罰ですとでも言うように



「まぁ、別にいいんですけど」


そう言うとそれ以上、鬼灯様が詮索して来る事はなく内心ホッとしていた。

鬼灯様の膝に頭を乗せると、察してくれたのか頭を優しく撫でてくれた。


この関係を壊したくない
そう強く願いながら私は目を閉じた。








END
またのゆるい主人公シリーズ


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