神々の遊び




極楽満月、という名前の店には似つかわしくない重苦しい雰囲気が二人を包んでいた。



「私の事、好きって言ったのはウソだったのね」


京子がその大きな瞳で白澤をジッと見つめると白澤は困ったような顔で笑う。


「ねぇ…そんな事言わないで。ほら、可愛い顔が台無しだよ」


白澤は眉間に皺を寄せた京子の頬を撫でようと手をやるが、京子はピシャリとその手を跳ね除けた。


「よく言うわ!そんな顔させるのは誰だと思ってるのよ!?」

京子が勢いよく立ち上がり、椅子がガタンと倒れた。
静かな店の中、薬膳鍋のコポコポと煮立つ音だけが響く


重苦しい雰囲気の中、やっと白澤が口を開いた。


「…良くない事だとは重々承知してる。だけど、僕のこの性格は変われない…」


ギロリと睨みつける京子に、目を逸らして下を向いてしまう白澤。
それを見て京子はわざとらしく大きなため息を吐いた。


「いつも貴方はそればっかり。私の気持ちなんて少しも分かってくれない」

悲しく今にも涙が溢れそうな顔で俯く
それを見た白澤が京子の手を握る
今度は跳ね除けられなかった


「いつも、京子ちゃんの事を想ってる。それだけは本当だから信じて」


白澤は真剣な目で京子を見据えて手にギュッと力を入れる

それに応えるように、京子は白澤の手を握り返した。


「手、離さないで。私をずっと見ていてよ」


ポツリと呟いた。
それを聞いて白澤は、京子の耳元で囁く



「夜になったら…また僕の部屋においで、待ってるから」



それを聞いて京子はコクリと頷くと悲しそうな顔で笑った。


「楽な道なんて無いのね、貴方を愛する事は私にとって破滅の道よ」



苦々しく笑う京子に、白澤は深く頭を抱えて黙り込んでしまった。












「よ、よ、よ…あーもうギブギブ!!!
京子ちゃん同じのばっかり回してくるんだもん!てゆうか語尾が〜よってズルい!」

「しりとり界では基本的な戦略です素直に負けを認めて下さい。」

ぐあーっと頭を掻く白澤を見て京子はニヤリと笑った。


そして、今までずっと側で薬膳鍋をかき回していた桃太郎が口を開く。

「触れないようにしてたんですけど、あんた達何してるんすか」


「「昼ドラしりとり」」


次は深夜ドラマしりとりでもしようかと盛り上がってる白澤と京子を尻目に、早く独立しようと深く思った桃太郎だった。


END

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