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 ママ、これ、作ったの

「まあ、何これ?」

 パンダさん。折り紙で、作ったの。

「…………」

 ママ?

「こんなものを作ってる暇があったら、勉強しなさい」

 で、でも……。

「でもじゃありません。ホント貴方は役立たずなんだから」

 やく、たたず?

「できそこないってことよ。そんな言葉もわからないの?」

 でも、わたし……。

「でもじゃありませって、何回言ったらわかるのっ!?」

 ひっ、ご、ごめんなさい。

「わかったらさっさと行って! 邪魔なのよ!!」


 愛が、欲しかった。
 誰でもいい。私を、愛して欲しかった。



 お父さん、あの……。

「なんだ、用件があるならさっさと言え」

 あ、その、私、中学校で、ミスビューティに選ばれて……。

「なんだそれは」

 勉強も、容姿も一番ってことで……。

「はあ、それが?」

 えっ。

「俺は忙しいんだ! お前のそんなどうでもいいこと聞いていられるか!!」

 す、すみません!

「ちっ、余計な手間をとらせるな」


 見て欲しかった、私を。
 すごいねって、可愛いねって、褒めてほしかった。



「佳南ちゃんってすごいねぇ」

 もっと褒めて。

「また佳南ちゃん一位? すっごいっ!」

 もっと認めて。

「ミスビューティだって! すごいじゃん!!」

   もっと、見て。



「でも、三日月佳南って性格最悪じゃない? ナルシストでうざいし」


 なんで、
 なんで、

 なんで誰も、

 私を愛してくれないの――――?




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