「では、用紙を表に向けて。スタート!!」

 修学旅行、といってもそれは表向きで、この学校じゃ勉強合宿といったようなもん。
 三日間、寝る前にテストがあって、勉強の成果を測る。

 ……めんどくさいったらない。

「佳南ー!! テストどうだった!?」

 終わった後、隣のクラスにいた美沙が走り寄ってきた。

「別に……大したことなかったわ」
「うっわ、96点! すご……」

 私の答案を奪い取って美沙が叫ぶ。それにクラスはざわつくが、私はうっとおしいとばかりに波音の方を指さした。

「すごくなんかないわよ。アレ、見てみなさい」

 私の言葉に美沙が波音の方に近づく。
 答案を除くと、悲鳴を上げた。

「きゃーー!! 柏月さん100点!? 天才!!」

 叫ぶ美沙に波音は唖然として、口をふさごうとする。

「し、白石さん、落ち着いて」

「満点って、怪物かよ」
「さすががり勉女だな」

 他の生徒のざわめきに、ふふんと鼻を高くする。
 当たり前でしょ、あの子には、

「私が教えてんだから、とか思ってるでしょ?」

 心のセリフと被った、その声に振り向く。
 そこにはニコニコとした凛が立っていた。

「まあ、当然ね」

 強気な私にははっと笑う。

「それはそれは」
「……で、あんたは何点だったのよ」

 持っていた答案を奪い取る。
 そこには86と大きな文字で書かれていた。

「ふーん。私よりたった10下……、やるわね」
「いや、マジで焦った。まさかここまで来てテストなんかするとは思わなかった」
「まあ、星蘭だし」
「はは。それやけに説得力あるな」

 二人で話していると、後ろから美沙が抱き着いた。

「なに、二人でいちゃついてんだっ」
「なっ、いちゃついてなんか!!」
「あ、凛。さっき先生が呼んでたよ?」

 波音の言葉に、凛は頷いて先生の元へ行った。
 美沙はあくびをしながら、私の手を引っ張る。

「さあ、テストも終わったことだし。部屋に戻って寝よー!!」





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