要の言葉に昴は唇を噛み締め一瞬だけ、ほんの一瞬だけ情けない顔をした。だが、すぐにいつものキリッとした表情に戻った。


「...あいつにあんな顔させたんだ。今さら合わせる顔がねぇよ」


昴のあんな顔というのが、転入生を補佐にしたときのことなのだというのが要にはすぐわかった。


「...のん、優しい。...きっと、許して、くれる...」

「俺はもう呆れられてるだろ」

「......呆れてる、かも、しれない...。けど、......謝ったら、しょうがないっ、て...笑ってくれ、るよ...」


必死に自分を説得する要を見た昴は何とも言えないような表情を浮かべ、困ったように頭を掻いた。


「...お前、しゃべんの上手くなったな」

「......のん、の、おかげ...」


話を反らそうとした昴だったが、結局またのんの話になってしまったことに少し後悔した。
だが、要があまりにも優しく微笑むものだから少し羨ましく思ってしまった。


「...俺はもう行く」

「かいちょ、...」


昴は要の呼び掛けを無視してそのまま生徒会室を後にした。



 



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