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今日は待ちに待った宿泊行事。
相変わらず転入生の器物破損やら暴力事件には手を焼いていたが、それでも無事にこの日を迎えることができた。
「じゃあ、もう一回約束事のおさらいね?時間はきっちり守ること。班の人とはなるべく別行動しないこと。一人になるのは禁止。わかったかなー?」
宿泊するホテルの前、俺が生徒たちに歌のお兄さんよろしく注意事項を説明すると、生徒たちは元気よく声を揃えて返事してくれた。
「じゃあ、各自部屋に荷物を置いたら自由行動でーす。部屋でのんびりするなり海に行くなり、買い物するなり好きなように過ごしてねー。あ、今日は海に入らないようにね」
最後に要の「解散」という言葉で生徒たちはそれぞれホテルの中に入っていき、全員が入ったのを確認して俺たちも中に入った。
「...のん、一緒、がいい...」
「仕方ないでしょ。要とクラス違うんだもん」
「.....」
「...ちゃんと班の子と仲良くするんだよー?わかった?」
拗ねている様子の要の頭をポンポンと撫でて子供に言い聞かせるように言ってやると、要はこくりと頷いた。愛いやつ。
俺は未だに納得していない様子の要と別れて自分の部屋に向かった。
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