あなたが食べたい2




そーゆーわけだけど一緒に現場にいられるのは幸せな訳で。俺は毎日の様に自分の料理番組から撮影所に通った。勿論作った料理は持参。俺の助手はしばらく赤尾さんの事務所の後輩が務めることになった。なかなか愛嬌もあり、よく気づき赤尾さんより使える。うん。でも俺は赤尾さん命。なので、態度もひどい。勿論苦情もじゃんじゃんきてるらしい。知らないけど。



「赤尾さん!赤尾さん!これ、俺の作った創作シュウマイです!」


「いらねぇよ。気持ちわりい。」


今日も今日とて赤尾さんに愛を込めて作ったシュウマイを差し出すも、タバコの煙をかけられて惨敗。


かと思いきや。


「あらぁ、萱元さん何か今日も持ってきてくれたの?いつもありがとうねー?毎日プロのお料理いただけるなんて本当幸せだわぁ」


いつもの渡嫁のババア出演者が現れる。赤尾さんが小さな頃からのご長寿番組だからか、出演者も若者はほぼいないと言っていい。しかし、そのババア共が現れた瞬間赤尾さんは素早く煙草を消して、俺にメッと指を差した。


「先生、煙草はダメって言ってるじゃないですか!もー、料理人なんですからね?」


いつもの助手のような口調で俺を諌める赤尾さん。俺 赤尾さんは明らかにババア共が来てから態度を改めた。まさか出演者にも猫を被っているのだろうか。とりあえず察しの良い俺は合わせる事にした。


「は?うるせえょ。」


軽く番組のノリで頭をはたくと、一瞬赤尾さんの顔が髪で隠れ表現が見えなくなり、他の人には聞こえない程度の舌打ちも聞こえたがすぐに赤尾さんはほのぼのとした笑顔を見せてくれた。


「もー、先生ったら。さぁ、皆さん!今日は先生が皆さんのためにシュウマイを作ってきてくれました!僕先生のシュウマイ大好き!ね?先生?」


机の下で足を踏まれながらも、俺はハイハイと軽くいなすようにした。


「本当にな。いつもアホヅラを更にアホヅラにして食ってるもんな。」


いつものノリに出演者の方々も笑ってくれ、良い雰囲気に包まれる。出演者は皆美味い美味いと食べてくれ、赤尾さんも食べてくれた。



コレは使える。




俺は次の日から出演者の前でばかり赤尾さんと絡むようになった。


「あー?お前馬鹿か?俺は今手塞がってんだろ?お前が食わせろよ。」


と、ケーキをアーンして貰ったり。台本の直しや演技指導と言いながら、顔をかなり近づけて話をしたり。ともかく出演者の前だと赤尾さんは優しいし、抵抗もあまりしない。しかも、やり過ぎた日(ほぼ毎日らしい)には赤尾さんからお怒りのメールや電話がじゃんじゃんくる。そーゆーやり取りまで出来て幸せだ。まだまだ撮影期間はある。俺はウキウキしながら明日に向けて料理を考えるのだった。





END






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