キンキラキン1







仕事。そう、たった一度の仕事で俺は恋に落ちていたようだった。








「仕事。」


最近仕事にいかない俺にブチ切れた上司が押し付けてきた仕事は、前回行った職場で。俺はすぐ様にコートを引っ掛けて職場を後にした。嬉しすぎる。一年ぶりくらいか。



「お久ぶりです!!お待たせしま…え?!」


「あれぇ?ダブルブッキングー?参っちゃうなぁ」


「よ、よかった。間に合った」




愛しい相手の家にはいると、そこにいたのは同業者に押し倒されている愛しの君だった。









「あの、何故ここに?」


俺は恐る恐る部屋に上がり、相手に問う。相手…インフルエンザさんはここの主人からどくと肩をすくめた。真っ白なスーツに真っ白な髪。目は灰色で、雪のように全てが真っ白で統一されているインフルエンザさんは洗練されていて、俺のようなヒラなウィルスとは天と地ほども差を感じる。俺は自分のくたびれたスーツの裾をそっと伸ばした。


「さー。ダブルブッキングってのかな。でも俺が来たら君が来るのはおかしいよね?」


そう。同時に違う病にかかることは稀だ。特に俺らウィルスは同時にはなかなか入り込めない。


「ですよね。」


「あ、の!それは俺が。インフルエンザさん見え始めてたんで。慌てて加熱用の牡蠣を生で食いました。」


「「え。」」


俺とインフルエンザさんは同時に声をあげた。それはこの業界では営業妨害にあたりあまり行ってはいけないのだが。



「な、なんで?」


「いや、インフルエンザにかかるのは年末はマジでやばいから。ノロなら二、三日だし。」


う、そんなにも俺に会いたいと思ってくれるなんて…感動している俺にインフルエンザさんは頭をバリバリかいた。


「あのさ。俺と君なら俺のが立場は上なわけ。特に彼には俺が付いていこうって決めてたからわざわざ出向いたんだけど。」


意味わかる?と、アタッシュケースから注射針を出すインフルエンザさん。見るからに思いびとが怯えているのがわかる。

つまり、ここを譲れというわけか。





だが、こちらも引き下がれない。







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