6.スマホと君

仁王は後ろの席で見慣れないスマートフォンとにらめっこをしている間宮に声をかけた。

「ケータイ、変えたんか」

案の定、帰宅後間宮は親にはたっぷり怒られ、後日文句を言われながら母とショップに向かった。本体はもう使い物にならなかったので、スマートフォンの中で1番シンプルで安価なモデルに変えたのだ。

「設定がねー、むずかしいの」
「おばあちゃんか」

あーでもないこーでもない、と右手の人差し指だけを使って操作する間宮を見かねて仁王がそれを取り上げる。

「貸しんしゃい」

フリック入力で素早く操作をする仁王に全くついていけない間宮。仁王はものの数分で設定から必須のアプリのダウンロードまでを終わらせた。

「試しにここに文字打って送ってみんしゃい」

一文字だけ入力し送信ボタンを押すと、仁王の端末に通知が出る。他にも、スタンプはここから、画像はここから、と色々教えてもらう。

「連打じゃないと文字打てないよー、」
「すぐ慣れる」
「んーー、まぁ設定ありがと!」
「おん」

始業のチャイムが鳴り、スマホをマナーモードに変えポケットにしまう。そして、先生が子守唄と評判のソフトボイスを発して授業が始まった。

しばらく紫式部についての話を聞いていると、自分のケータイが鳴っていることに気づく。こっそりとポケットから取り出すと、仁王から【暇】とメッセージが来ていた。授業はまじめにうけるべきと思っている間宮は、慣れない手つきで【集中】と送ると前の広い背中が机に伏したので声を我慢して笑った。


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