とある高校、生徒会室

衝撃の体育館デビューから数日。現在、放課後でございます。
とてとて、と学校内を散歩。少しずつ校舎の構造を覚えてきたぞ私。最初のころは迷ってたけどね!

「あ、お犬様だ」
「お犬様、今日もかっこいい」
「かっこいい?かわいくない?」
「いや、お間抜けなだけだろ」
「あ、お犬様―、さっき松山先生がこっちに向かってたよー」

最後の人ありがとう。ついでに、4人目の人、ちょっとお話があります。オオカミ様は癒し系なの!もふもふなの!かっこよくてかわいいの!
と憤慨しつつ、進行方向を急変更してちょっと駆け足。見つかると生死をわける鬼ごっこが開催されてしまう。ちらっと聞いた話では、捕まえて保健所に連行する方針ができているらしい。全力で逃げますとも。
でも、普通学校の中に大型犬が出没していれば警察呼ばない?と最初のころは疑問でした。が、校門付近を通りかかった時、解決した。ビデオとかカメラとか構えた記者が、生徒や教師を捕まえようと躍起になっていた。この状況で警察呼んだら、大騒ぎになるよねぇ。捕まえようと目をぎらつかせているのは最初の男性教師、松山という人物だけで、ほかの先生はにらみつけることはあっても、近づきたくないらしく、見て見ぬふりをしている。でも、生徒が私と戯れるところを発見すると怒鳴り込んでくる。よく分かんないなあ。

そんな感じで、私、なんでか学校に馴染んでおります。最初は怖がっていた生徒たちも、私たちが全く害のないということが分かってか、撫でてくれるし時々食べ物もくれる。後半大事!でも、ごめんなさいドッグフードはちょっと悲しくなるからごめんなさい。他のワンちゃんにあげてください。贅沢なのはわかっています。

こんな堂々と学校内を歩けるのは眼鏡少年のたくらみ…げふん、おかげです。

たどり着いたのは生徒会室。どうやって入ろうかとうろうろしていたら、生徒が1人開けてくれた。

「先輩、お犬様が帰ってきましたよ」

この呼び名、どうにかならないかなぁ。このみょうちくりんな、お犬様という名前をはやらせたのが、今生徒に呼ばれた眼鏡の少年。名前は聞いた。けど、呼ばないからね!

「おかえりなさい、お犬様」

おぬし、実は全部企んでおっただろう!と、近づきすぎないようにしつつ、私たちの最近の寝床へ。生徒会室の片隅、入ってすぐには分からない位置に、毛布が折りたたんである。のと、ついでにペットを飼っている生徒からペット用のトイレとドッグフード入れがあるんだけど、使ったことは無い。餌代とか危うく生徒会の予算から捻出されそうになって、震えあがって止めた。私たちは、食事は必要ないんだけど!と遠慮した。本当の意図は伝わってないだろうけど、ドッグフードという言葉が嫌いと判断された。まあ、あながち間違いでもない。

あれ、眼鏡少年が書類の束を持っていた。なんだなんだ?珍しくお仕事貯めたの?

「校長、断られたらしいです」
「やっと重たい腰を上げてくれたのにな」
「違うところに行きます?」
「他はどうも、胡散臭いしなぁ」

あれれ。なんの相談だ?

「渋谷の一等地に霊能事務所抱えて、口コミも悪くないしなぁ」

なんだか、覚えがある、ぞ?渋谷にある、オカルト系の事務所。
もし、この学校の問題を解決できるなら。生徒も、教師も守れるなら。それは、私たちじゃない。私たちでは、守り切れない。悪意が渦巻くこの危険な学校の原因を、解決できるなら。何だろうか、この縁は。吸い寄せられるように、私たちと彼らは、つながった。

「もう一回、今度は僕が行ってみるよ」

さすが眼鏡少年!あなたならきっと彼らを丸め込めげふん。快く依頼を受けてもらえるだろうから!

(26/70)
前へ* 目次 #次へ
栞を挟む
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -