女友達




よく聞け愚民共。この歌舞伎町の女王様である神楽様のお通りだ。

最近、万事屋に新しい従業員がやってきたネ。いきなり銀ちゃんに告白してそのまま図々しくも万事屋に居候してる奴アル。見た目から同じ天人だって分かるけど、コイツはただのアホネ。見てて分かるヨ。いつも騒がしいし、銀ちゃんに馴れ馴れしいし、新八は丸め込まれたし、何だかいけ好かない野郎ネ!

時々私に絡んでこようとするけど、別に私は涼子と話したいことなんてないから適当に返しておいたりすると部屋の隅でいじけることが多いアル。フン、いい気味ネ!!



「神楽〜ナレーションいれてるのはいいけどよ、定春の散歩行ってこい。もう何日もさぼってんだろ。」

「サボってないアル。定春最近便秘気味だからお腹が張って動けないって言ってるアルよ。または食べ過ぎで動けないって言ってるネ。」

「食べ過ぎはおめぇだろ。そんな思春期の女子みたいな理由あるわけねぇだろ。おら、さっさと行ってこい!」

「え〜めんどくさいね。銀ちゃんが行けばいいヨ。」

「あー!?お前が飼いたいって言うから飼わせてやってんだぞ!?結局はお母さんが世話することになるから俺は反対したんだ!」

「あーあーあーわかったネ。しょうがないから行ってくるネ。」



何アルか、銀ちゃんなんて糖尿で膀胱がパーンってなればいいネ!!私は定春を呼んで玄関を出ようとしたアル。



「あ、神楽ちゃん今から定春の散歩?私も一緒に着いてっていいかな?」

「私お前と一緒に行きたくないネ。」

「まーまー。そんな冷たいこと言わないでレッツラゴー!!」

「んなっ!私いいって言ってないヨ!!」



私の手を掴んで強引に引っ張る涼子に多少苛つきながら、そのまま私は定春の散歩にでかけたヨ。

鼻歌を歌いながら隣を歩く涼子。何がそんなに楽しいネ。傘を差しながら歩く私の顔は今きっと不細工になってるアル。それ以上に涼子が一緒にいることがイライラするネ。



「ねぇ....神楽ちゃんは私のこと嫌い?」

「...嫌いアル。」

「なんで?」

「....からネ。」

「え?」

「お前が気にくわないからネ!いきなり万事屋に入ってきて図々しいアル!お前なんか万事屋の一員でもなんでもないネ!早く自分の星に帰るヨロシッ!」



言ってしまった後にハッと口を押さえたネ。でも涼子なら別にこれくらい言っても平気ヨ。いつもヘラヘラしてるから大丈夫アル。そう思って涼子の顔をチラリと見てみれば、いつものヘラヘラした笑顔は消えていて、少し悲しそうな顔をして笑っていたネ。こんな顔初めて見るヨ。



「そっか....うん。そうだよね。ゴメンね。」



そういうと涼子は私と反対方向の道を歩いて言ってしまったアル。しばらく私は立ちすくんで、定春が頭をこすりつけてくるまで歩こうとしなかったアル。

なんで、私がこんなモヤモヤした気持ちにならないといけないネ!悪いのは涼子の方アル!涼子が勝手に私達の中に入ってきたからいけなかったヨ!でも....



「少しだけ、言い過ぎちゃったアルな....。」



ポツリと呟いた時、後ろから私の名前を呼んでる声が聞こえたネ。



「神楽ちゃーん!!」

「涼子!?」


ついさっき分かれたはずの涼子が急いでこっちに走ってきたヨ。何がしたいアルか。



「ふへ〜一気に走ったのはきつかったか〜。あの、これあげる。」

「何アルか?」



受け取った袋の中にはいっぱいの酢昆布が入ってたネ。



「ごめんね。神楽ちゃんがそこまで嫌な気持ちになってるの気付無くって。これほんのお詫びの印。」

「ば、馬鹿じゃないアルか!?なんでお前が謝ってるネ!あ、謝るのは....」

「いいのいいの!私馬鹿だからこんなことしか思いつかないけど.....。あのさ、出来たら友達になってもらっていいかな?」



頬をかきながらおずおずと手を出してくる涼子に私はどうしたらいいかわからなくなったネ。だからパンと差し出された手を叩いたアル。



「そ、そこまでこの歌舞伎町の女王の神楽様と友達になりたいなら、なってやってもいいネ。」

「はははっ!うん、お願いします。」



私がそういうといつもみたいにヘラヘラ笑い出したネ。本当に涼子は訳がわからないネ。
でも、少しだけ認めてやってもいいヨ。



女友達


*ナレーションでの神楽の口調が何気に難しい。
 

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