変人と変態の境目
どうも、こんにちわ。僕志村新八です。とあることがきっかけで銀さんが経営している『万事屋銀ちゃん』で働かせてもらっています。...ただ給料がまともに出た事なんて1回もないですけどね。
自分からここに来たので何とも言えないんですが、ここのオーナーとも言える坂田銀時は剣の腕は超一流のくせに普段はグータラな絵に描いたような駄目人間で、トラブルをよく起こすわ、生活費をパチンコにつぎ込むわ、フリーダムすぎて僕は毎日振り回されっぱなしです。
さらに僕の後に万事屋に入ってきた宇宙最強の天人とも言われる夜兎族の女の子、神楽ちゃんもこれまたトラブルメーカーでホントに気の休まる日がありませんよ。特に女の子のくせに口悪い、手癖足癖悪いで僕も1日1回は罵倒されてます。
そんな一癖も二癖もある万事屋に最近また新しい従業員が増えました。ある日突然銀さんに一目惚れをしたといって無理矢理居候することになった涼子さん。見た目は紅色の腰まである髪に紅色の瞳で明らかに天人ということがわかる。黙っていれば整った顔で大人しい人なのかと思っていたら、そんなことはなくかなりの変人でした。
口を開けば銀さんに告白しまくりだし、時には抱きつこうとしたりしてますが、ことごとく銀さんにかわされまくってます。それでも諦めない彼女のポジティブさにアル意味感服ですよ。
でもそんな彼女でも銀さんが関わっていなければ、本当に普通の人でした。結構万事屋の家事とかを手伝ってくれたりして助かることもある。まあ、挙動不審な言動はもう気にしないことにしよう。
「新八君、ナレーションするのはいいんだけど、なんか私の悪口ばっかり言ってない?そんなに私のこと嫌い?」
「いいえっ!そんなつもりじゃないんですけど...なんというか涼子さんは一般の人より少し、言ってることややってることがおかしいというか、ずれてるというか....。」
「それって完璧に悪口だよね。いいよいいよ!どーせ私は銀さんには振り向いてもらえず、神楽ちゃんには冷たくあしらわれ、新八君には買い物手伝ってあげてるのに(現在進行形で)悪口言われる運命なんだ。ぐすん。」
「べ、別に僕は涼子さんのこと嫌ってるわけじゃないですよ!そんな泣き真似しないでください!」
「ん〜やっぱり新八君に言ってもらってもキュンとこないわ。銀さんに今の台詞言って欲しかったな〜『涼子、俺はお前のこと嫌いじゃないぜ。むしろ....』とかなんとか良い展開だと思わない!?」
「はあ....。ぶっちゃけどうでもいいです。」
こんな具合にいつも僕らの会話はかみ合わない。いやむしろ、この人と会話が成り立つ人を見てみたい。
「そう言えば涼子さんはなんで万事屋に居候してるんですか?まあ、銀さんと一つ屋根の下に〜とはわかってますけど...。家族の方はいないんですか?」
「......。」
いきなり真顔で黙り込んでしまった涼子さん。今まで見たことのない顔だったから僕は聞いちゃ行けないことを聞いたと思い焦って話題をそらした。
「す、すいません!なんか変なこと聞いちゃって!あ、そういえばまた姉上がうちに来て欲しいって言ってましたよ!」
「そっか!妙ちゃんとはテンションが合うからまた会いたかったんだ〜!今度行くって言っといて!」
「あ、はい。」
さっきの真顔が嘘のようにいつもの涼子さんの笑顔に戻っていた。そのことに僕は内心ホッと胸をなで下ろした。
「ね、新八君。」
「何ですか?」
「私、万事屋に住めて今本当に楽しんだ〜。ま、君たちからは邪険に扱われてるけど!でも新八君、いつも気をつかってくれてありがとう!」
「え、いや。御礼を言われるほどじゃないですよ。」
「あ、勘違いしないでね!新八君には純粋に感謝してるけど、私が惚れてるのは銀さんだから!」
「はいはい、わかってますよ。」
そう照れ笑いする彼女はなんだか普通のどこにでもいる女の子で、不思議とこの騒がしい会話も楽しいと感じている僕がいた。
変人と変態の境目
(「あ、そうだ!今日銀さんパチンコ行ってていないんだった!しょうがいないから銀さんの着物抱きしめて匂いかいじゃお!」)
(「やっぱり変人で変態だ。」)
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