志波誕祭'10
HappyBirthday!(中編)
「では明日休みを設けて明後日から通常練習を再開する。それまでゆっくり休んで合宿の疲れを癒すように。解散!」
「「「っした!」」」
「終わったー!飯食うぞ!そして明日遊ぶぞー!」
「体力有り余ってんな…その元気のよさだけは本当尊敬するよ、俺は帰って寝る。志波は…」
「俺急ぐからお先。お疲れ」
「はは、だよな。お疲れ。いい誕生日を」
「お疲れ〜マネージャーによろしく…ってもういねぇ!」
【HappyBirthday!(中編)】
(まだ約束の時間まで余裕あるな、直接行こうかと思ったが荷物もあるし一度家に帰るか。……帰ってきた事だけでも伝えるか、もしかしたらもっと早く会えるかもしれねぇし。ふっ、ガキなのはどう考えても俺の方だな…)
ピッピッ
『もしもし、はぁ、はぁ、志波くん?!終わったの?』
「あぁ、さっき終わって帰ってきた…なんかあったのか?息切らして」
『おかえり!実はカッちゃんが居なくなっちゃって…約束の時間までには見つけて行くから!』
「待て、今どこだ?俺もすぐそっちに行く」
「あ、志波くん!お疲れ様おかえり!」
ぎゅっ!
「ああ、ただいま…」
ぽんぽん…
「……で、カツミがどうしたって?」
「はっ、そうだ抱きついてる場合じゃない!知らないわんこがケーキ持っていっちゃったの!」
「ケーキを?」
「それをカッちゃんが追いかけて行って、わたしも後を付いていったんだけど追い付けなくて…」
「さすがに犬のスピードに付いてくのは無理だろうな」
「いろいろ探したんだけど見つからなくて、元の場所に戻ってるかもしれないと思って来てみたんだけど戻ってなかった…」
「そうか…じゃあ今度は一緒に探して…」
「ウォンッウォンッ!」
「カッちゃん?!…じゃない…あ!ケーキ持っていったわんちゃん!」
「こいつが?」
「ハッハッハッ♪」
「ねぇ、ケーキどこに持っていっちゃったの?カッちゃんはどこ?」
「…ワフンッ」
プイッ
「教えてくれない?」
「……どこに持っていきやがった」
「クゥゥン…」
「志波くん怒っちゃダメだよ!何か理由があったのかもしれないし!」
「何の理由が…はぁ…怒らねぇから、どこにやったか教えてくれ」
なでなで
「キャウン♪……ウォンッ!」
「あ、待って!」
「ウォンウォンッ!」
「…付いてこいってことか?」
「ここは…」
「…俺の家?」
「ハッハッ!」
ポンポンッ
「ここに置いたみたいだね…ないけど」
「クゥン?」
キョロキョロ
「嘘じゃねぇみたいだな…ちょっと家に入って聞いてくる。荷物もついでに置いてくるから待っててくれ」
「うん、わかった」
ガチャ、パタン
「……」
「……もしかして自分が志波くんにケーキ届けようとしたの?」
「……ワフン…」
「そっか、わんちゃんも志波くんお祝いしたかったんだね。でも勝手に持っていっちゃダメだよ?ビックリしてカッちゃんも飛び出していっちゃった」
「…ヴ〜バウッ」
「…もしかしてカッちゃんにヤキモチ?」
……プイッ
「そうだったんだ……でも大丈夫、志波くんは優しいからみんなと遊んでくれるよ」
「ワウン?」
「ふふ、だってみんなが大好きな志波くんだもん。わんちゃんも志波くんが好きなら、分かるよね?とってもとっても優しくて素敵な人だって」
「……ワン」
「よし、もう勝手にああいう事しちゃダメだよ?今度志波くんと一緒に遊ぼう?」
「ウォンッ♪」
「うん!じゃあ志波くんにはちゃんと言っておくから、またね」
「ウォンウォン!」
タッタッタッ…
(ヤキモチ焼いちゃうのは仕方ないよね…わたしもいつも気が気じゃないもん……あれ、そういやなんで志波くんへのケーキだってわかったのかな?志波くんパワー?)
ガチャ
「悪い待たせた。どうやら後からカツミが来て持ってったらしい…ん?あの犬は?」
「もういいの!志波くんも怒らないであげて、今度あったら遊んであげてね!」
「ん?あぁ…?お前がそれでいいなら…」
「それより!カッちゃんここに来たんだね!どこに行ったのかわかった?」
「公園の方に走っていったって言ってたが…」
「公園も見たけどいなかったんだよね…一応もう一度行ってみる?」
「やっぱりいない…」
「どこ行ったんだ?勝手にいなくなることはないと思うが」
「今日志波くんと会うことは分かってるから志波くんがいそうな所に行ってると思うんだけど……あ!公衆電話ボックス!……いない…」
「なんで公衆電話?」
「この間志波くんに会いたいって言ったら去年を思い出してここまで連れてこられたの」
「…お前…そんな事……」
「あ、ご、ごめん!志波くん忙しいのにね、気にしないで!」
「……あかり、実は後で話が…」
「あっ!そういえばもしかして!あそこに居るかもしれない!」
「ん?どこか心当たりが…」
(……この方向はまさか…?)
[志波誕祭'10]
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