「いたーー!」
「ワンッ!」
「ここは…やっぱり…」
【HappyBirthday!(後編)】
「も〜心配したよカッちゃん…」
「ワンワンッ!」
ずいっ
「ケーキ取り戻してくれたんだね、ありがとう。でも心配するからもう急に居なくならないでね?」
「ワン!」
「…どうしてここが?」
「さっき言ってた続き、公園の後にここに連れてこられたの」
(あの電話の時…まさかと思ったがここの事だったのか…)
「なんでこのマンションに来たのかはわたしにも分からないんだけど…カッちゃんどうしてここに来たの?」
「ワフン」
チラッ
「……お前にはお見通しか…来い、いくぞ」
「あ、うん!そういえば志波くんが行きたい所ってどこなの?」
「…ここだ」
「え?」
ガチャ、ウィーン…
「入るぞ」
「ちょ、ちょっと待って!あ、カッちゃんどうしよう?!」
「ここはペット可だから大丈夫だ」
「ワオン♪」
「だ、大丈夫なの?えと、お邪魔します…」
「わ〜素敵なお部屋!でも荷物ほとんどないね?ここ誰のお家?勝手に入っちゃっていいの?」
「……俺の家」
「え?」
「って言っても今月入ったばっかでまだほとんど何もないけどな」
「俺の家、って…じゃあ志波くん独り暮らし始めたの?」
「……プレゼント、欲しいもの考えとけって言ったよな?」
「あ、うん、何か欲しいものあるっぽかったよね?何?あ、その他に実はさっきね…」
グイッ
「わっ!」
ぎゅ…
「し、志波くん!急にどうしたの…」
「…プレゼント、また去年と同じものがいい」
「同じもの?」
「ケーキと……あかり、お前…」
「っ!……う、うん…構わないし…そのつもり、だけど…」
「くっくっ…もちろんその意味もだけど…そのままの意味で、お前が欲しい」
「どういう意味?」
「…ここで一緒に暮らさないか?」
「……え?」
「ずっと考えてたんだが、きちんと成人してからの方がいいかと思って今日まで黙ってた」
「……」
「なかなか会えなくてもお前は不満も何も言わないから俺も何も言わなかったけど、やっぱりお前がいつも傍に居てくれないと俺がもたない」
「……」
「…急過ぎたし我が儘にも程があったか。別に今すぐにってわけじゃなくてもいいから、考えてみてくれないか?」
「……」
「…あかり?……駄目か…?」
「志波くんずるいよ…」
「ん?」
「いっつもわたしが喜ぶ事しかしないんだもん…わたしが志波くんを喜ばせたいのに…」
「それはこっちのセリフだけどな……じゃあ、今お前が一言『うん』って言ってくれたら、どうしようもなく嬉しい」
「………うん」
「…本当にいいのか?」
「うんっ!」
ちゅっ!
「っ?!」
「志波くん大好きっ!」
ぎゅーっ!
「…自分からこういう事平気でするくせに、俺がすると真っ赤になるんだよな…」
「え、何?…ふふ、志波くん顔真っ赤」
「……はぁ、人の事言えねぇか」
「?」
「ふ、何でもない…プレゼント了承してくれてサンキュ。じゃあ、これ…」
「これって…」
チャリ…
「ここの鍵」
「…やっぱり志波くんの誕生日なのに自分がこんなに嬉しい物もらっておかしいよ…」
「お前がこれをもらってくれて俺は嬉し過ぎるから何もおかしくない」
「…うん…あ!そうだちょうどよかった!」
「どうした?」
「プレゼント決まらなかったんだけど、今日たまたま行ったお店で見つけたの。はい!」
「これ以上もらっていいのか?……黒い犬のキーホルダー…ふ、カツミそっくりだな」
「わたし的には志波くんにそっくりなんだけどね。そして実は自分の分も…へへ、さりげなくおそろい」
「本当だ……サンキュ」
「気に入ってもらえた?」
「お前がくれる物ならなんでも嬉しい……そしてその中でもお前自身が一番嬉しい」
ちゅ…
「んっ…」
「…久し振りだから加減出来なかったら悪い」
「えっと…その…」
「ん?…あぁ、カツミなら自分の分のケーキ持って隣の部屋だ」
「え…あーっ!カッちゃん忘れてた!ごめんカッちゃん!」
「なんだ違ったのか…あれほど一生懸命探してたのに、くっくっ…」
「だ、だっていっぱいいっぱいで頭パンパンなんだもん!」
「もっといっぱいにしてやる…来い」
「…志波くんそのセリフ臭すぎる」
「お前の前でだけだ…」
「……これ以上いっぱいになって頭ショートする前にちゃんと言っておく」
「…ん?」
お誕生日おめでとう!
- END -長らくお付き合いありがとうございました。志波くんおめでとう!