志波誕祭'10
あと1日
「プレゼントが…決まらない…」
「クゥ〜ン…」
「あ〜もう明日なのにどうしよう!」
「ワフン…」
「プレゼントだけじゃなくて何か志波くんが喜びそうな事もしてあげたかったのに。一昨日は電話くれたし、昨日はひ、人伝ってのが恥ずかしすぎるけど…まさかの寝言聞けたし…結局わたしが嬉しい事しか起きてない…。というか…」
「ワン?」
「よくよく思い返してみたら去年プレゼントあげてないんだよね…ケーキだけで十分だって言ってくれたけど、それじゃあわたしの気が済まない…」
「ワンワン!」
「カッちゃんまでそれでいいの?でも形の残るものあげたいんだ、自分がそれもらって嬉しかったし…」
ガサゴソッ
「こうやって後になっても眺められるしね、えへへ」
「ワン♪」
「でも志波くんは逆に困るのかな…要らないもの貰うよりはその場でなくなるケーキだけがよかったりして…」
「ワウンッ!」
「もちろん志波くんがそんな事言うとは思えないけど、欲しいと思えるものあげたいよね…」
「クゥン…」
「よし!サプライズで喜ばせたかったけど、志波くんに直接欲しいもの聞いてそれプレゼントしよう!」
「ワン!」
「やっぱり本人が一番喜ぶものあげたいもんね。サプライズがない分ケーキに目一杯愛情と腕を奮わなきゃ!」
「キャン♪」
「あ、多分また志波くん家で食べると思うし、お部屋も片付けてあげよう。合宿で放置してたしホコリ溜まってるかも、あ、お家の人が掃除してるかな?」
「ワフン?」
「そういえば一昨日カッちゃんと通りすぎたので久し振りに志波くん家に行ったんだよね。ふふ、楽しみだなぁ〜」
「ワン!」
「あ、何時頃帰ってくるか聞いとかなくちゃ。確か夕方頃になるとか言ってたっけ?今無理だろうし、メールして後で連絡してもらおう。えーっと、練習お疲れ様、何時頃…」
─────
「げふっ、ご馳走さん!ふあ〜今日で合宿終わりか〜!」
「おいおい、まだ明日残ってるだろ」
「分かってるよ、俺は飯の事言ってるの。やっぱ家ご飯万歳!」
「あれだけウマイウマイ言っといて…あれ、志波どこ行くんだ?」
「先言っててくれ、ちょっと電話してくる」
「あ、ま〜た彼女か〜?豆だね〜」
「…用事があるだけだ」
「どうせ明日の事だろ?この後寝る前にお前の誕生日会兼白状しろ大会開くからな、待ってるぜ〜」
「……終わったらすぐ寝るか」
ピッピッ
「……もしもし、俺だ」
『あ、志波くん!』
「もうどこの俺様ですかとか聞かないのか?」
『こ、この間は電話来ると思ってなかったからテンションあがっちゃったの!』
「くっくっ…そうか。メール見た、明日の4時頃着く予定だ」
『そっか、お疲れ様!じゃあ5時過ぎ位にお家に行けばいい?もっと遅く行く?』
「あ、いや…家じゃなくてもいいか?」
『え?うん、もちろん構わないけど…どこ行くの?』
「そうだな…前によく行ってた公園あるだろ、そこで待ち合わせよう」
『公園?あ、この間カッちゃんと久々に行ったよ、公園デート』
「…なんだか本当に役目取られてるな…乗り換えるなよ?」
『あはは、カッちゃんと志波くんで修羅場だ。よし、分かった公園ね。久々に志波くん家行けると思ってたからちょっと残念だけど』
「…ちょっと違うところに連れてってやる。誕生日の我が儘って事でいいか?」
『もちろんだよ、志波くんの行きたいところ行こう!あ、実はね…プレゼント決まらなかったの、ごめんね…』
「今年もケーキ焼いてくれるんだろ?それだけでもう十分だ…」
『やっぱりそういうと思った…志波くんの欲しいものあげるから何か考えといてね』
「…本当に我が儘言うけどいいのか?」
『何か欲しいものあるの?』
「……明日言う」
『明日言われたら用意できないよ』
「いいんだ…とにかく、明日終わったらすぐ行くから、公園でな」
『うん、分かった。急がなくてもいいからね、疲れてるだろうし』
「あぁ、サンキュ…じゃあな、おやすみ…」
『うん…おやすみ』
プッ
「ふー…言える建前は出来たな……明日か…よし。……寝るか」
[志波誕祭'10]
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