志波誕祭'10
あと3日
「う〜んなかなか決まらないなぁ…」
「ワフ〜」
「昨日見て回ってもピンと来る物なかったし、どうしようかな?」
「ワンワン!」
ポンポンッ
「ん?」
「あぁバースデーケーキ?もちろんそれは今年も作るよ」
「ワン!ワンッ!」
「ふふ、カッちゃんにも犬用ケーキ用意してあげるからね。出逢えた記念日」
「キャン♪」
「でも去年追い掛けられた時はどうしようかと思ったよ、水の中にまで落ちちゃったし」
「クゥン…」
「あはは、ごめんごめん。携帯届けようとしてくれたんだもんね、ありがとう。……電話、したらやっぱり邪魔になるかな…」
「ワン?」
「合宿中だもんね、夜に掛けたとしても疲れてすぐ寝ちゃうだろうし」
「ワフン」
「はは、毎年この季節連日一緒にいられたから欲張りになっちゃったよ。…志波くんに会いたいなぁ…」
「クゥン…ワンワンッ!」
「え、待ってカッちゃんどこ行くの?!」
「ワンワン!」
「はぁ、はぁ、急に走り出してどうし…って、あれ、志波くんの家の前?……志波くんに会わせてくれようとしたの?」
「ワンッ♪」
「…ありがとう。でも残念、今志波くんここにはいないんだよ」
「ワン?」
「志波くんがいないのにお家に来るのって初めてかな、不思議な感じ。そういえば初めてお呼ばれした日はなかなか眠れなかったなぁ…あの頃は志波くん友達として呼んでくれたんだろうけど、それでも嬉しくて一生懸命着ていく服選んで…ふふ、懐かしい」
「ワンワンッ!」
「あ!待って今度はどうしたの?!」
「ワンワン!」
「はぁ、はぁ、またいきなり…って今度は公園?」
「ワフワフッ」
カリカリ
「公衆電話…あ、ここに入ってれば志波くんが迎えに来てくれるって?」
「ワンッ!」
「あはは、また残念。あの時は緊急事態で特別」
「ワォン?」
「この公園そういえば最近来てなかったな。よく志波くんと寝転がってお昼寝したっけ。また天気のいい日にお弁当作ってゴロンと…」
「ふふ、見てあの子達。落ち葉の上で転がってはしゃいじゃって」
「はは、いいじゃないか。子供は本当に元気だなあ」
「…未だにこういう事しようとしてるから子供っぽいんだよね…」
「フンフン…ワンワンッ!」
「わぁ!今度はどこ行くの!」
「ワンワン!」
「はぁ、カッちゃん足早いよ……ってここ何処?マンション?」
「ワン!ハッハッハッ♪」
「志波くんに会わせてくれようとしてたんじゃないの?ここうちでも志波くん家でもないよ?」
「ワオンッ!」
「誰か住んでたっけ?…でもここ知らないし来たことないしなぁ?まさか志波くんが今ここに居るわけないし…」
「ハッハッ!」
「あ、コラ!勝手に入っていっちゃダメだよ!」
ウィーン
「…ん?どうかしましたか?」
「あ、すみません何でもないです!失礼しましたっ!」
─────
「志波ー風呂行こうぜ!」
「ああ、先に行っててくれ」
「ん、どした?」
「…何でもない、すぐ行く」
「ん〜?…はっは〜ん!ごゆっくり〜♪」
「……はぁ、たくっ」
ピッピッ
「……もしもし、俺だ」
「…ふ、志波勝己だ。今大丈夫か?」
「…あぁ…あぁ。……?マンション?いや、今付属の宿泊施設だ。……ん?あぁ…」
……
「じゃあ、ゆっくり休めよ。おやすみ…」
ピッ
(……マンション?…まさかな…)
[志波誕祭'10]
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