志波誕祭'10

あと4日


「よし、疲れて帰ってくる志波くんの為に最高の誕生日を用意するぞ!」

「ワンッ!」

「……ふぁ〜…」

「キャウン!?」





「あぁダメだまだ昨日の余韻が……志波くん高校生の頃はあんなに時と場所を考えろって言ってたのに、まさか真昼間の外でちゅうされちゃうなんて…」

「ワン!ハッハッ」

「カッちゃんが隠してくれたけど相当恥ずかしかったんだよ?」

「クゥン?」

「そりゃ付き合って結構経つし、その先の事も…あるけど……志波くんからあぁいう事平然とされと心臓が持たないよ」

「フンフン」

「ふふ、何、お鼻で撫でてくれるの?カッちゃんはやっぱり志波くんに似て優しいね。こんなに大きくもなって」

「ワフンッ」

「大きく…もなるよね。もう今度の誕生日で二十歳迎えるんだもんなぁ…志波くんはどんどんかっこよくなって大人になっていってるのに、こんな事でいちいちあたふたしてる自分は子供過ぎるよね」

「ワン?」

「他の人たちはこういう事普通なのかな…子供過ぎて興味なくなったとか言われたりしたらどうしよう…」

「ク〜ン…」

「そう思われないようにも誕生日精一杯お祝いしなきゃ!よし、自分のやる事やったらプレゼント探しに行こう!」

「ワンッ!」



─────



「よし、そこまで!明日また同じ時間この場所に集合。以上!」

「「「っした!」」」


「腹減った〜!お、志波、隣いいか?」

「ああ」

「うし、いっただきまーす!…は〜練習の後の飯はやっぱうまいな!あ、高校ん時のマネージャーの飯は更に別格だったな、志波」

「…ああ」

「お前ら同じ高校だったっけ?」

「おぅ。で、志波の彼女がマネージャーだった」

「余計な事言うな」

「あのよく一緒にいる彼女だろ?いいなぁあんな可愛い子と合宿か〜」

「可愛いだけじゃなくて気が利いて働き者で凄く助かってた。飯も上手かったしいう事なしだよな〜」

「………」

「おい睨むなよっ!マネージャーとしてって事だよ!」

「…早く食え」

「お前彼女の事になると本気で殺気放つよな、その眼光でどれ程の奴等が地獄に落とされた事か…」

「へぇ〜高校ん時からそんなだったんだ」

「もうホントそんな感じで茶化す隙なんてなかったよ」

「茶化すも何もねぇだろ」

「ん?」

「…高校ん時付き合ってない」

「は?マジでっ!?え、嘘だろ?」

「嘘じゃねぇ」

「あれ、らぶらぶだったんじゃないの?」

「ラブラブなんてもんじゃねぇよ!始終一緒に居るところしか見なかったし、サイレント映画夫婦とかまで言われてたのに!」

「サイレント映画夫婦?」

「…何だそれ」

「あれ、当人は知らねぇの?何も喋ってないのに志波がちょっと動くだけでマネージャーがその時必要な物用意したり何かやってやったり、音声無しのホームドラマみたいでそう呼ばれてたんだけど」





「ツーカーすっ飛ばしてんじゃんすげぇな」

「…マネージャーの仕事として当たり前だっただけだろ」

「俺らにまでそんなだったわけないだろ!何かに気付いてくれても『どうかした?』とかちゃんと聞いてきたよ。お前のやりたい事は見てれば分かるよとか言ってたっけな」

「そうだったのか…」

「はぁ〜だらしない顔しちゃって、今更高校時代のノロケかよ。しかし付き合ってないって知ってたらもっとアプローチ掛けとくんだったな…」

「…テメェまさかあいつの事…」

「はは、冗談冗談、高校の時の話だよ!」

「……」

「恐ぇよだから睨むなって!さぁてごちそうさまでしたーっ!!」



[志波誕祭'10]

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