志波誕祭'10

あと5日


「よし、カッちゃん行こう!こっち!」

「あんまりはしゃいで転けるなよ、落ち葉が滑りやすくなってるから」

「うん、分かってるよ。大丈…きゃっ!」

ズルッ

「危ない…っ!」

「ワンッ!」





「っと、セーフ…」

「言ったそばから……」

「ごめん…ありがとう志波くん。それと、カッちゃんも。ね、今はカッちゃんも側に居てくれるから大丈夫」

「クゥ〜ン」

「随分なついたな、そいつ。もう一年か」

「そうだねもうそんなに経つのかぁ。ふふ、あの時は志波くんの所から帰ってきたら家の前で待っててビックリしちゃったよ」

「ワンッ!」

「わっ!カッちゃんくすぐったいよ!」

「…しかしその名前はどうにかならなかったのか」

「だってどう見てもちっちゃな志波くんに見えるんだもん。シバカツって付けたら怒るでしょ?」

「付けるつもりだったのか…」

「だからカツミのカッちゃん!」

「ワォンッ!」

「気に入ってるよね〜カッちゃん」

「はぁ…まぁ、今更か」


ピピピピピ…


「と、もうそろそろ時間か」

「もうそんなに経ってたんだ!ごめんね練習の合間に抜けてもらって…」

「俺が会いたくて呼んだんだ、気にするな。寧ろこっちが悪かったな」

「ううん、ちょっとでも会えて嬉しかった。また暫く会えなくなるからね…明日からだっけ?たしか最新設備が整ったトレーニング場を貸してもらえる合宿って」

「本格的な練習は明日からだが実質今日からだな、今から移動だ」

「え!じゃあ早く行かなきゃ!」

「準備はしてあるしまだ時間はある…早く行って欲しいのか?」

「違うよ!そりゃ、出来るだけ一緒にいたいけど…わたしのせいで迷惑かけられないし…」

「…ならよかった」

「え?」

「最近なかなか会えなかったから飽きられたかと思った」

「まさかそんな事あるはずないよ!志波くん夢の為に頑張ってるんだもん、飽きる所かもっと素敵になってわたしが置いていかれちゃうよ」

「それこそない。お前がいるからここまでこれたし、これからも頑張れるんだ」

「わたし何にもしてないけど…」

「ふ、気付いてないだけだ。でもそれでいいんだお前は……じゃあ、そろそろ行くか。送ってやれなくて悪い」

「ううん、素敵なボディーガードがいますから」

「ワンッ!」

「…見事に役目取られたな」

「ふふ、日に日に志波くんに似てきてる気がするよ。…じゃあ、いってらっしゃい……」

「…21日には帰ってくるから、その時までに考えててくれ」

「え?」

「俺の誕生日、祝ってくれるんだろ?」

「うん!もちろん!」

「ふ、お前のお陰で自分の誕生日覚えちまった」

「普通は覚えてるもんですよ?へへ、でもよかった、誕生日は一緒にいられるんだ」

「ああ、だからそれまでに…ちょっとしゃがめ」

「ん?うん?」

「カツミ、ちょっと来い」

「クゥン?」





「っ!?」

「…充電」

「し、志波く…!?ここ、外…!」

「ああ、だからカツミの出番だ。役目増えたな、助かる。俺がいない間こいつ頼むな」

「ワンワンッ!」

「さすがにもう時間だ、行ってくる。気を付けて帰れよ、じゃあな」

「い、いってらっしゃい…」



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