青春ストロベリー




『…いた』



教室の窓から外を見ると、剣道場で練習している皆が見える



その中にひときわ目立つ銀髪のダルそうに竹刀を構えるアイツも見えた



委員会が長引いて帰りが遅くなってしまった日は、こうやって1人で外を眺めるのが日課になった




『…(あ、笑ってる)』




何に対してかは分からない、けどアイツが笑うと不思議と私も嬉しくなって心がキュンとなる



笑うたびにあのフワフワした髪が揺れて、その髪を無性に触りたくなる




『…そろそろ帰るか』




いつまでも見ておきたいと言う気持ちもあるけど、時間が止まってくれる筈もなく鞄を持って教室を出た









『何飲もっかな〜』





帰る途中に飲み物を買おうと自販機の前で立ち止まる




新発売のジュースにするか、ミルクティーも飲みたい気分




ふと別の自販機を見ると、アイツの大好きなイチゴ牛乳もあって、この学校の自販機は色々揃ってるなと感心する




でも、だから私みたいな優柔不断な人間はジュース1つ選ぶのに時間がかかる事も忘れないで欲しい





本当にどうしよう…





う〜…んと腕を組んで悩んでる間に、何人の人が先に飲み物を買ったか分からない




「何そんな悩んでんの?」


『新発売のジュースかミルクティーか…って銀ちゃん!?』




ナチュラルに話し掛けて来たのは部活中の筈の銀ちゃんだった





『何してんの?』



「何って、する事は1つだろ?」





微妙な言い回しで言ったあと、飲み物を買いに来たんだよ、と言い直した




『部活は?』


「とっくに終わった」




そう言う銀ちゃんは確かに制服に着替えていた


と、言うことは私はそんなに長い間ジュース1つ買うのに迷っていたのか



優柔不断過ぎるだろ私




早いとこ決めてしまおうと思う反面、もうちょっと2人で一緒にいたいとも思ってしまう




あくまでポーカーフェイスをかましてる私だけど、緊張の余りに頭の中が爆発しそう!!





『ジュ、ジュース買わないの?』




無言な空気と緊張感で可笑しくなる前に話題を持ち掛け銀ちゃんの方を向いたら、思ったよりも距離がずっと近くでビックリした




さっきから全然飲み物を選ぼうとすらしてない銀ちゃんはいつ買うつもりなんだろう?




「あー…、俺も今考え中〜」


視線は自販機に向いたまま答えが帰ってきて、それよりも、と言葉が続いた




「俺今日誕生日なんだよね」



『へー……えっ!?そうなの!?おめでとう!!』




どーも、と言いながら視線は未だ自販機の方を向いている




「何するか決まった?」



『…まだ考え中』




そっか、誕生日だったんだ

プレゼントとか用意出来なかったな……




ちょっとヘコみながら考えるフリをして、横にいる銀ちゃんを見る

フワフワの髪が風に揺れて、やっぱり触ってみたい衝動に駆られる



無意識の内に手を伸ばしかけたその時、視界の隅に銀ちゃんの大好きなイチゴ牛乳が見えた





『イチゴ牛乳って美味しい?』



いつも美味しそうに飲んでるイチゴ牛乳
このパッケージの奴はまだ飲んだ事無い気がする




「そりゃウメェに決まってんだろ、この世の最高傑作だと思うね俺は」




『…じゃあイチゴ牛乳にしよ』



結局決めたのは、ミルクティーでも新発売のジュースでも無い、銀ちゃんの大好きなイチゴ牛乳




「じゃあ俺はコレにすっかな」



お金を入れて出て来たのは新発売のジュースだった


それをゴクゴクと飲むのを見て、私も自分の買ったイチゴ牛乳を飲む



『甘くて美味しい』



確かに最高傑作とまでは行かないけど美味しかった


「だろ?」



誇らしげにドヤ顔で笑う姿につられて私も笑う




「じゃあ、情報提供代って事で」



『!!』



私が飲んでいたイチゴ牛乳をヒョイと取って飲み始めた……って、えェェ!?



かかか、間接チュウじゃ…!?


どーもって普通に返されたけど、えェェ!?


どどどどうしたら良いの?飲んでも良いの?OKなの?



あわわわわ、と必死に考える私の姿を見た銀ちゃんは隣で笑っている





『〜〜〜!!何笑ってんだコラ!!』



「イヤだって、分かりやすい奴…ププ」




…からかってる!!
私の反応見て遊んでる!!



怒りたくても、今の私の真っ赤な顔じゃあ余計に面白がられるだけだ




『〜〜銀ちゃんのアホ!!天パ!!』



それでも悔しくって子供みたいに叫んで逃げた




「待てコラ!!」



ら、直ぐに捕まった
そうだよ、私足遅いんだよ、そして天パは速いんだよちくしょう



『……銀ちゃんのアホ』



私の気持ちバレちゃった?
さっき笑われたのが、まるで私の気持ちも一緒に笑われたみたいで嫌だった



「…悪ィ」


何が悪いなの?そんな顔で謝らないでよ


『………』



「咲夜?コッチ向いてみ?」


『………』


そんな優しい声で言われたら、向かない訳にはいかないじゃんか



『……!!』



言われるままに顔を向けた途端目の前にはさっきと比べられない距離に銀ちゃんがいて、

気付いた時には、その距離すらゼロになっていた





「…ごちそーさん」


数秒して離れた唇をペロリと舐めながら銀ちゃんは言った




『な、なな……!!』



何が起きたのか理解出来なかった私は、ただ口をパクパクとしてるだけ


「誕プレはコレで許してやんよ」


イタズラっぽく笑って言った


『な、何さらすんじゃボケェェ!!』



真っ赤な顔の私の声と銀ちゃんの笑い声が学校中に響き渡った




キスの味はストロベリー、なんてね




(だってしゃーねェだろ?)


(好きな女が可愛い反応したらさ、)

(誰だってパクッと食べたくなるだろ?)




*******


銀ちゃんハピバ(^^)!!
銀魂も復活したし、誕生日だしで良いことありまくりだ!!


あんまり誕生日ネタって訳でもって無かったけど、許して下さいw




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