言葉マジック




「咲夜ちゃん、醤油取って〜」



『はーい』





「咲夜さんおかわり!!」



『食べ過ぎて仕事に遅れても知らないですよ〜』




笑って言いながら、よそった飯を隊士に渡す



その周りにいた隊士達もデレデレと笑いながらまた咲夜ちゃん、咲夜さん、と話しかけている


そんな隊士達に飽きもせず笑って答える女、月城咲夜は真選組の女中だ






誰に対しても笑顔で平等に接し、愚痴もコボさない、嫌な仕事も進んでして、良く気も利く



男所帯のここでは最早アイドル的存在らしい





が、俺はそうは思っちゃい無ェ


アイドルだろうが何だろうが人間誰にも黒い部分が必ずある筈だ



八方美人で居ようが居まいが、それは無ェ奴なんて存在し無ェと俺は思っている










『〜〜〜♪』




「(ジー………)」








鼻歌混じりに、パシっ、パシっと音を立てて洗濯物を干しているアイツの後ろ姿を監察しながら
どうやって奴の本性を探るか考える





監察である山崎までもが、

アイツに悪い所は無い

と言った所からして、探って直ぐに見付かるようなモノでは無さそうだ



……さて、どうするかねェ




見た所、仕事も真面目にしてるらしく洗濯物の量も残り数枚になっていた






『さっきから何してるんですか?』




洗濯干しが終わったのか、気が付くと目の前に姿があった





「……仕事サボらないように見張ってるんでィ」




『サボってるのは沖田さんでしょう?』







クスクスと、朝と同じ様な顔で笑って俺を見ている





「良いからサッサと仕事しなせェ、止まってるあんた見ても意味無ェや」




俺はお前の本性暴くために今日1日を過ごすとさっき決めた所なんでねィ




『なんですかそれ?』





「あんたを監察中なんでさァ」



『ストーカー!?』



キャーと騒ぐソイツにベシンと頭を叩くと、暴力はんたーいと訴えられた



「うっせ、お前俺が実は仕事してるの知らねェだろ」




『見たこと無いですけどねェ〜…』


う〜…んと考えるフリをして隣に座った











『それで結局何なんですか?』



空いたカゴを横に置く

どうやら答えるまで動かないつもりらしい





「アンタは何者なのかと思いやしてねェ」



『?』





「アンタモテるだろィ?」




『え?まっさかァ〜全然ッスよ〜(棒読み)』




「うぜー」






ウザさよりも清々しさを感じる程の棒読みっぷりだ


それでもいつもの顔で笑うから何を考えているのかが読め無ェ




『だって沖田さんが変な事聞くからですよ』




「……アンタ本当は性格悪いだろ」



『誰も良いなんて言った記憶は無いですよ?』



確かに本人から直接聞いてはいないが、要するに俺も含めて隊士全員が騙されてた事になる


さっきと同じ笑顔が今では少し違って見えるのは、確実にコイツの本性に近付いた証拠だ






「実はアンタ俺と同じタイプの人種だろ」


『さァ〜、どうでしょ?何なら私の話聞きますか?』





イタズラっぽく微笑む顔に、さっきまでの優しい印象の笑顔は完全に消えている


そして、何故か俺はコイツの話と言うなの愚痴を聞く羽目になった







『……大体ご飯食べるにしたって、自分で水くらい入れたら良いと思いません?人が忙しくしてる横で水入れろだ、醤油取れだ、自分で取れよとか思う訳ですよコッチも!!』






どうやら大分溜まっていたらしく、さっきからマシンガントークだ


いつもの笑顔は完全に無く、喋る事だけに集中している





『ーーそれに、休みの日はのんびりしたいのに、ボタン取れたがら着けてくれだの、チョット肩揉んで欲しいだの、私は母親か!!』





バシンッと床を叩いて、やっとひと段落付いたのか、話が止まった







「アンタ普段と全然違う」





『仕事とプライベートは違うタイプなんです』





「今も仕事中だろィ」



『休憩はプライベートと考えます』






自由か

まァ良いけど


当初の目的は果たせたからねェ





「そう言や、俺に素バレちやいやしたねィ」







せっかく今まで隠し通して来たのに残念だったな、と思う反面
他の奴は知らねェと思うと優越感を感じる





『あァ、沖田さんだし良いかなって思って……何だか似た物を感じる』



うんうんと頷く姿から、良く分からねェが脱力感を感じさせる





「別に普段からそれで良いんじゃ無ェの?」



少なくともコレからアイツが隊士に笑いかける姿を見る度に、笑いを堪える事になるだろう







『イヤ〜、ここまで来たら通してみせますよ、騙してたとか言われて嫌われるのも嫌だし』




騙してる自覚はあるのか

まァ貫き通すなら別にソレはソレで俺には関係無ェが…



立ち上がって、後ろを向いた



「俺ァ、今の咲夜の方が好きだけどねェ…」



言うだけ言ってその場から立ち去った





笑顔の秘密と言葉の意味



(今の方が良い)


(そーいう意味にしておこう)




******

最後無理やり甘ちょっと混ぜてみた(笑)


グダグダ加減が申し訳ないです



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